バッティングのポイント②
まだ身体ができていない、小学3年生になりたての息子にバッティングをするときに意識して欲しいことを5つ伝えてみた。前回は、まず「足の位置を固める」ということをご紹介した。今回は、手の位置についてお話ししていく。前回の記事はこちら↓
息子にとって金属のバットは、一番軽いものを使っても重いようだ。それは、直接息子に聞かなくても、息子のスイングを見ただけで十分こちらにも伝わってくる。
にもかかわらず、息子は手(腕)だけで力任せにバットを振るので、振り終わった後、身体がフラフラしてしまう。
理想は、身体が連動して全身でボールを捉えられることだが、はじめからそれができれば苦労はないわけで、少しずつ身体の連動性を覚えていくために、どうしたらいいのかを考え、試している。
2.手の位置
前回は、足の位置を固めた。今回は上、つまり手の位置だが、気になっていたのが、バックスイングが大きいことだ。手(腕)の力で打つことしかわかっていないので、ある意味力任せでバットを振っている。打球が弱いので、周りからは「もっと強く!もっと強く打て!」と言われるが、腕で振るのでバックスイングが余計に大きくなる。
腕だけで振る息子にとって、バッグスイングはいうならば、走り幅跳びでいうところの「助走期間」にたとえられる。より遠くに飛ぶために(ボールを飛ばすために)バックスイング(助走期間)も自然と大きく(長く)したくなる。
ただし、これだと身体の軸はブレるし、より大きなスイングとなり確実性に欠けるため、今度は空振りが増えてしまう。
バックスイングは、「助走期間」でなく、いわゆる「割れ」を作るための準備で、たとえるなら弓矢で矢を引くイメージである。まだこの段階ではレベルがそこまでいっていないため、ここでは「割れ」については、割愛するが、とにかく、大きな力任せのバックスイングは身体がブレるので避けたかった。
加えて、息子はバットの位置を身体の真ん中あたりに構える。すると、バックスイングの距離も自然と長くなるので、ブレる確率も増えてしまう。これは、小さい子どもを見ていてわかったのだが、人間は身体の中心、特におへその辺りが一番安定する。
息子にとって重いバットを持つには、本能的に身体の真ん中に置いておくというのが安定して自然なのだろう。このことに関しては全く異論はない。最初のバットの構える位置は、究極は前でも後ろでも真ん中でも、テイクバックで割れができていれば最初の位置はどこでもいいと思っている。
そのうえで、息子に置き換えてみたときに、あまりにもブレが大きすぎるので、それを防ぐために伝えたのが、「右側に人がいて雨が降っているから隣の人が濡れないように、傘をさしてあげる位置」にそのままバットを持ってくる、というものだ。そんなイメージを持って構えるといいと伝えた。そうすると、バックスイングした時に、後ろまでの距離が短くなるため、身体のブレが自然と少なくなる。
実は、これは私が子どもの時にも、プロ野球選手から教えてもらったことなので、知っている方も多いかと思う。そのうえで、人間の構造上、肩は横についているので、自然と横にバットを持ってくるというのは自然の形なのかもしれない。その表現として、「傘」を使うのは、30年前の子どもの私にも理解しやすかったし、今小学3年生である息子も理解できているようだ。
30年前、私が子どもの頃に分かりやすく教えてくれた大人たちにこの場で感謝したい。
バットが重くて、身体の真ん中にバットを構えて、さらにバックスイングが大きくて気になるお子さんには、「傘」という表現を試してみてはいかがでしょうか。