「砂浜や森の中でPC作業=ワーケーション」では無い!
「ワーケーション」というキーワードで画像検索をしてみてください。
皆さんはそこに出てくる人の姿に、違和感を感じませんでしょうか?
今回のコラムでは、この違和感への考察と、我々がこのサイトで情報発信を続ける理由について、あらためてまとめてみたいと思います。
「自然の中でPC作業」は非効率
一番よく目にするのが「砂浜に寝転んでノートPC作業」や「森の中にテーブルとチェアを置いてノートPC作業」をする姿。中には人が写っておらず、ただ自然の中にノートPCが置かれているイメージ画像も多くあります。
長年、さまざまな場所でワーケーションを実践してきた私からすると、このイメージは完全に「虚構」だと感じます。春や秋などの陽気の良いシーズンで、しかも雨が降っていない状況でなければ、自然環境の中で長時間のPC作業などできません。(砂浜でPCに砂が入ったら、故障の原因になってしまいます)
また屋内の場合でも、外からの太陽光が直接入る窓際などではPC画面が見にくく、Zoom会議なども集中できないため、結局は「一瞬だけやってみて写真を撮ったけど、あとはずっとホテルの個室内のデスクでお仕事」というのがワーケーションの現実のはずです。
ワーケーターがお金と時間を投資する理由
だとしたら、なぜわざわざ、交通費や宿泊費や時間を投資してでも、ワーケーション先に移動して働く必要があるのでしょうか?
それは「その場所でしか体験できない『価値』があるから」だと私は思います。
どのような『価値』を体験するかは、もちろん個々のワーケーターごとに違います。
サーフィンが大好きな人にとっては、朝起きてすぐに海に出られる環境は理想的でしょうし、地域のボランティア活動に従事している人なら、その場所での人のつながりが最高の喜びのはずです。
もっとシンプルに「温泉」や「食」や「副業」など、その場所でリアルに関わることができる『価値』を求めて、その場所に本業の仕事を持ち込むことで、Work(仕事)からVacation(余暇)への「切り替えの時間を最短に」し、その『価値』を最大限に満喫できるようになることが、ワーケーションにコストをかける大きな理由の1つなのです。
「持ち込む仕事の生産性を最大化」したい理由
そのため「Work」の部分については、生産性を最大限にアップして、「できるだけ短い時間で終える」ことで、ワーケーション先で『価値』を満喫する時間を最大化することが求められます。
結果、屋外でPC作業をするような非効率な働き方ではなく、デスク・チェアやWiFiアクセス、空調や騒音などがコントロールされた「快適なテレワーク環境」が用意されていることが理想的なのです。
前回のコラムでも繰り返し書いた通り、ワーケーションの最大の魅力は「人との出会い」です。
私はこの想いを、本メディアのロゴに込めてデザインしました。
多くのワーケーション関係者が、この部分を勘違いしているようで、我々ワーケーターの気持ちを理解してくれていません。
その結果が「自然環境の中にノートPC」という画像に象徴されるような、間違った施策やアピール方法につながってしまっているのでしょう。
私は、そんなワーケーションの現状を改善すべく、このメディアを立ち上げました。
ノートPCは宿に残して、外に出よう!
「ワーケーションで地域を盛り上げたい」「関係人口を増やしたい」と思うなら、訴求すべきは「自然の中でPC作業」という虚像でもなければ、「快適なテレワークオフィスへの税金投入」でもなく、「その場所に行けばどんな人に出会えて、どんな『価値』を体感できるのか?」の再発掘と可視化をすることだと我々は考えます。
またワーケーションに行く側の立場としては、事前にしっかりと調査して、「行った先で誰に会いに行くのか?」や「その地域のどんなコミュニティに出会いがありそうか?」を、綿密に準備していくことで、滞在先での体験をとても豊かなものにでき、ワーケーションが自分が本当に大切にしたい『価値』を見つめ直す機会になることでしょう。
せっかくワーケーションに行くなら、仕事はちゃっちゃと片付けて、ノートPCはホテルに置いて、外に出ましょう!
きっとそこには、あなたの人生を豊かにしてくれる人々との出会いが待っているはずです。
(「神奈川ワーケーションNavi」の編集長コラムから転載しました)