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子供の命を救ったら、人生観が変わった。

昨日、こどもの命を救った。

まだ小学一年生くらいの子。
そんな子が川で溺れてた。




昨日は、「残暑」という言葉がストンと腑に落ちるくらい、暑かった。

9月の中旬になっても、秋と交代しない夏。
なんか執念深い。

さっさと変わっておくれよと思う。
秋は美味しいものがいっぱい。

クリ食べてぇ。


そんな昨日は、絶好の川日和。

私も川に遊びに行っていた。

山奥にある、きれいな川が通っているキャンプ場まで、片道1時間。

前に来たのが、もう5年前くらいだと思う。

そのキャンプ場のすみずみに、懐かしみを感じながら、河原へ向かった。

前と変わらぬ風景。

ちょっと人が増えたくらい。

そこには、飛び込んでくださいと言わんばかりの岩がある。

飛び込み台みたいに、ちょっと反り返って、その下が深くなってる。

岩の訴えに従って、どんどん人が飛び込んでた。

ちょっと助走をつけて、大ジャンプをする高校生。

後ろ向きで飛び込む、チャレンジャー。

回りながら落ちていく、将来のフィギュアスケーター。

低めのところから、「ポチョン」って降りていく、子供。


こうも性格が現れるのか….とびっくりした。

さぁ、次は私の番だ。

人がやってた飛び方を、真似しながら飛ぶ。

大ジャンプも、後ろ向きも、横回転も。
ポチョンは最初にやった。

さすがに前転はムリだったけど。

思ったよりも川が冷たくて、「来てよかったな」と感じた。


そして、5回目を飛んだ後。

ちょっと嫌な予感がした。

振り返ると、バタバタと手を上に上げてもがいている子供。


あっ….






一瞬の思考停止後、一気に考えの濁流が押し寄せてきた。

子供は?溺れてる。親はどこに?まだ気づいてない。
助けないのか?止まってる。
誰が近い?私が一番近い。
他人の子供だぞ?関係ない。
勝手に飛び出していいのか?周りに人がいない。
巻き込まれるかもよ?ライフジャケットがある。
親が気づいたぞ?もう遅い。
お前は助けられるのか?


うるさい。




ライフジャケットをほんの一瞬だけ確認し、飛び込む。

子どもの親の「行けるのっっ!?」が聞こえて、ちょっと止まる。
「お前もいけよ」と思ってしまう。

でも、見捨てる理由にはならない。

手繰り寄せ、持ち上げて。

一瞬水を飲みながら、足で泳ぐ。

なんとか持ち上げて、岩壁に近づく。

やっと、親が来て受け渡す。

一安心して、陸に上がる。


なんとか、テンションを下に戻して、残りの時間を楽しんだ。




楽しんで、疲れて、温泉でサウナを満喫して、ぐっすり眠った次の日。

それが今日。今。

頭がすっきりしてて、うまく動いている。

多分、あのときは思考停止と現実逃避をしてたんだろう。

命が近くにあったから。

でも、今なら考えられる。

パソコンを充電しながら、キーボードを叩いている。

忘れないうちに書かなきゃ。という気持ちを胸に。


死ぬときには死ぬ。

これが今回、一番感じたことだ。

どんだけ頑張っても、どんだけ頑張ってなくても。

善人にも罪人にも等しく死ぬ。

どんなに気をつけても、どんなにお転婆でも。

等しく死ぬ。

もしかしたら、溺れていたのは私だったかもしれない。

ライフジャケットを持っていかなかったら。
水中メガネがなかったら。
流れが早かったら。
もっと早く来てたら。

私は今、キーボードを叩いていないかもしれない。

多分、今まで生きているのは、10%の努力と90%の偶然。

いや、99%の偶然かもしれない。

生まれたところが、内戦地だったら。貧困だったら。不衛生だったら。

10年すら生きられないだろう。

たまたま日本。
たまたま普通の親。
たまたま生きてる。

そんな偶然の積み重なりで、私の命はつながっているのだろう。


私は「どうせ死ぬならいいや」ということを言いたいわけじゃない。

むしろ逆だ。

「偶然生きてんだから、生ききれよ」と言いたい。

自殺。いじめ。過労死。

そんな簡単に死にに行くな。

そんな簡単に「死ね」と言うな。

そんな簡単に死を望むな。

死にたくないのに。
希望で胸を膨らませ、やりたいことで目が輝いてても。
死ぬ子がいるのに。

死ぬくらいなら、逃げてしまえ。

生きるための逃げはありありだ。

そもそも逃げたんじゃない。生きるために戦った結果。

考えることを捨てずに、生きようとした結果。

私は、私優先で生きていく。


偶然生きているんだから、生き生きと生きよう。

希望を持ち、やりたいことを持ち。

それを叶えるために、努力をし。

武器を持ち、飛び立つ。

死ぬために生きるんじゃない。

毎日、同じルーティンを繰り返すだけじゃ、ロボットだ。

毎日、学校の授業を受けるのが正義じゃないし、
毎日、仕事に耐えているから偉いんじゃない。

そもそも、「これでいい」は思考停止の一つかもしれない。

偶然生きているんだから、生ききって死のう。


偶然にも、たまたま、奇跡的な確率で。

あなたは生きてこの文章を読んでいる。

あまりにも奇跡だ。

奇跡と奇跡の子供が、私。
奇跡の子。

奇跡。
軌跡。
輝石。

生まれてるだけで、生きているだけで素晴らしい。

そんな当たり前が、体験になり、経験になった、今日だった。





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