DIYで防音室を作ってみた(12.あとがき)

以上で終了になります。

このトピックをここまで読んでいただき、ありがとうございました。

昨今、日本では数多くの楽器メーカーが防音室をラインナップしており、それぞれのメーカーがこの苦境の中でしのぎを削っています。
そんな中「5万円」などという金額で買える防音室は現在どこにも無いどころか、中古でもその10倍、20倍という金額がかかり、中古自動車が買えてしまうほどの大きな買い物だったりします。

しかし、そうした高価なメーカー品が決して法外に高すぎる価格設定だとは僕は思いません。

なぜなら、自作で4ヶ月もかかったのですから(笑)
そもそもこれほど大掛かりなものを自作するという時点で相当なギャンブルであり、もし失敗すれば全てが粗大ゴミになってしまうかもしれない。
製作スタートの時点からずっと続くトライ&エラー、苦難の連続。
そんな不安との4ヶ月にわたる戦いによって、僕はその対価を支払ったように思います。


今思うと、僕が防音室作りに向かうきっかけになったのは、二十歳そこそこで上京して一番最初に住んだアパートで起きてしまった隣室の住人との騒音トラブルなのかもしれません。

それがきっかけで僕は別のマンションに引っ越し、一応そのトラブルは表面的には解決を見たわけですが、問題はここで終わっていませんでした。

自宅での曲作りや録音行為だったり曲のミックス作業をする中で、その騒音トラブルの時の記憶やトラウマが、無意識のうちに表現行為に対する遠慮や躊躇、妥協となって、自分の演奏や発声などの物理的なパフォーマンスにまで悪影響として出てしまっている事に気がつき、それは長年にわたり僕自身を悩み苦しませる事となりました。

表現の意図とは全く関係のない「遠慮」「躊躇」「妥協」といった消極的な要素を作品の中に入れてしまう事、そしてそれを許してしまう事は、上手いとか下手だとかいう技術論以前の問題であって、作品そのものに対して、文化全般に対して、自分の才能に対して、そして何より、それを聴いてくれた多くの人達に対する冒涜であると考えるようになり、現在に至ります。

僕は元々DIYは結構好きでしたが、最終的にはそうした想いが僕を防音室作りに突き動かしたのでは、と今では思っています。

最後に、このようなトピックを最後まで読んでいただいた皆様。
ここまで長い駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

ここに公開した情報が、何かしらの現状打破のヒントや心の糧として、今後の皆様のお役に立つことが出来たならとても嬉しいです。

世の多くの人達に明るい未来が訪れますように。

高橋

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