AIによって救われるブランドが増えるのではなく、むしろ弱いブランドの可視化と淘汰が進む
5/13(火)の夜、メイキップさん主催セミナー「AI活用したファッションテックとの融合 本格到来するデータ・ドリブンアパレルの時代」を聴講してきました。
登壇者セッションで、メイキップ・柄本さんがニューロープ・酒井さんに提示された「AIで学習・分析したデータで売れるアイテムを予測できるとのことだが、それだと既に現状でも言われている同質化がもっと進むだけなのではないか?」という疑問は、セミナー中に私もずっと持っていた疑問でした。
この質問に対し酒井さんは「AIが提供できるのはあくまでも情報であり、その後は人間のセンスが必要」(やや曖昧ですがだいたいこんな主旨だったはず)と回答されていました。
ファッションに限らず、これは本当にその通りで、コストをかけて宝の山である多くのデータを収集したところで、どんな視点で見るのか、どう活用するのかによって同じデータでもまったく違う運用・結果になるわけで、そこはディレクションする人間によるのは当然の話であり、AIの時代到来と言われているけど、実際には今まで以上に人間の(センスの)時代なのではないかと思いました。
データに振り回されず、冷静に分析し、ブランドとしてのブレない軸とセンスを持つ人間の時代…これ、自分の仕事にも当てはまります、ハードルが高いですが…。
などと考えていたら、「まさに!こういうこと!」という記事を見つけたのでご紹介しておきます。
「AIを制す者は100年先を制す。ビジネスパーソンに求められるAIスキルとは」
https://amp.review/2019/05/11/aidemy/
現時点でも、そしておそらく未来でもAIが人間にとって万能になることはまずないでしょう。上の記事にも書かれているように、下記の思考プロセスが重要ですね。
課題を発見・設定→課題の中のどの部分をAIに任せるのがベストなのかを考える→分析軸・視点を人間が考える→AIでデータを収集する→収集したデータをブランド運営にふさわしい視点で分析・運用する
AIの進化でAIに任せるのがベストな部分が増えていくとは思いますが、特にもはや「一部の人の趣味」「服好きな人たちの内輪ノリ」レベルまでニッチな市場になってしまったファッション分野では、「視点」「センス」は作り手の「思い」と重なる部分でもあるので人間が担い続けなければいけないし、今後も生き残っていくのにますます「肝」となるでしょう。そして商業的なデータの活用とこの肝の部分の組み合わせ力・バランス感覚が弱いと、早々に市場から退場することになるという構図がより一層明確になっていくのではないでしょうか。
AIによって救われるブランドが増えるのではなく、むしろ弱いブランドの可視化と淘汰が進む…そんな時代になっていきそうですね。
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