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すべてを受け入れてーうさぎりんごー

「おかんメール」という、爆笑必至の本がある。
こういうモノにお金を掛けるほど、余力は無い筈だが、何故か持っている。(出版社の皆様、ゴメンナサイ。この本に投稿している皆様もゴメンナサイ)
けれど、この本はみはるのとっておきの活力剤で、凹み捲くっている時や疲れ切っている時に、ふと手を伸ばし、ひとり夜更けの部屋で笑い転げる。(有り難いです)

一体、世の母親という存在は、何故にこうも爆発的威力を持つのか?

自らを信じて疑わない、"根拠無き自信"が今日も今日とて子どもを惑わす。

微笑ましいと言えば、確かに微笑ましい。
しかし、それを真正面から受け止める子どもには、相当の覚悟と忍耐が課せられる。

はい。もうお解りですね。
今日のnoteは母ネタです。

幼稚園を卒園し、小学校に上がると"給食"になる。
これは、幼い子どもにとって、かなり大きなイベント事ではないだろうか?
長年(と言っても、たったの5〜6年だが)、お母さんの作ったモノを食べてきた。勿論、お母さんでない場合もあるが。
でも、まぁ、とにかく一番近しいひとが作ってくれたモノを食べていた筈だ。

ソレが、ひとの作ったモノを食べることになる。"給食のおばちゃん"の味だ。
有り難いことに、みはるは美味しかった記憶しかない。
偏食で少食だったが、給食は学校生活における楽しみのひとつに間違いなかった。

そんな或る日、"お弁当"を持って来なさい!という厳命が(?)下った。
年に数回は有る、"お弁当"の日。

不思議なモノで、これはこれで楽しみなのだ。
暫く食べていなかった、母の(近しいひとの)作ってくれる"お弁当"。
なんだか、ウキウキだ。

みはるは言った。

「明日、お弁当だよ!」
「うん。わかった。」
「あのね、みはる食べたいモノがあるの!うさぎさんのりんご。りんごをね、皮でね、耳を作ってね、うさぎさんにするの!」

みはるは一生懸命に説明をした筈だ。身振り手振りも添えて。
だって、みんな可愛いうさぎりんごを食べているんだもの。
みはるだって食べたい!

「よしっ。解った!!」

母は"任せなさい!"とばかりに、どーんと請け合った。
この時、みはるは"お母さんて凄いな!"って思ったのを覚えてる。

翌日、みはるは大自慢大会を繰り広げた。

「今日、みはるのお弁当、うさぎりんごなんだ。お母さんが作ってくれたの!」

周りのお友達はニコニコしながら聞いてくれた。→若干、記憶がみはるの都合の良いように書き換えられている…かも知れない。苦笑

4時間目が終わり、みはるはイソイソとお弁当箱を開けた。

…(@_@;)…

う·さ·ぎ…じゃない!!

いやっ。よくよく見ればうさぎなのだ。
でも、みはるの予想を遥かに裏切ったうさぎだった。
今風に言うと、"予想の斜め上"を行っていた。

何故に、こうなった…。(;´Д`)

母は、うさぎりんごを作るに当たって、主役と言っても過言ではない、"皮"をキレイに剥いてしまった。そうして、クシ型に切ったりんごの身の上部に、Vの字で切り込みを入れた。(切り落とした身はどうなったんだろうか)

衝撃度が数値化出来ない…。

もう一度、この顔文字。

…(@_@;)…

みはる、恥ずかしさに耐え切れず、お弁当箱を必死に隠して食べた。

うぅ。さっきの自慢話を消しゴムで消しちゃいたい!!(。>﹏<。)

家に帰り、みはる必死の猛抗議!

「あれは、うさぎさんじゃない!うさぎさんのりんごは、こうやって、ああやって。」

5歳児、みはる、何ふり構わず一大パフォーマンス。
みはるの話にじっと耳を傾けていた母。

「えぇー?!そうなの!!やだー!!」

やだー!!はこっちの台詞だ。(ーー;)

この日以来、みはるは二度とうさぎりんごをリクエストしなかった。

で、このお話は、これにてThe Endとなりそうな所だが、残念なことに(?)続きがある。

みはる、成長して20代半ば。
その頃、母とみはるは同じアパートの隣同士の部屋に住んでいた。
何か用事が有ると、ドンドン!と壁を叩く母。

毎日、結構な頻度で壁が鳴るので、今度は何だ?!と思いながら、母の部屋に行く。
行く度に、素っ頓狂なことを言ってのけたり、やってのけたりする母だったが、或る日のドンドン!で。

「ほらー!出来たよー!!」

ん?なんだ?

テーブルを見ると、お皿にこんもり盛られた、うさぎりんご。

間違っていなかった。(但し、不格好)

苦笑いを浮かべていると

「ちゃんとやっておかないと、この先ずーっと言われちゃうからさ。」

ホントのことを言うと、みはるはりんごが余り得意ではないのだが、母の勝ち誇ったような顔を見ていたら、シャクシャク(りんごの歯音)しない訳にはいかない…ように思われ、二人で食べた。

果てさて、家の母だけが、こんなにオカシイんだろうか?

しかし、それから数年の後、当時結構親しく遊んでいた友人(♂)からこんな話を聞いた。

「中学に入って2日目。初めてのお弁当の日。お弁当の包みを開けたら、キティちゃんのお弁当箱だった…。中に、うさぎりんごが入ってた…。(;一_一)」

"思春期"入り口。それは厳しい、な。

彼は言っていた。

周りの女子軍団の目が辛かった、と。

彼の母は、息子の恥ずかしさなど微塵も頭に入れていない(と思う)。

[そこにお弁当箱があったから。→疑問、無し。]
[りんごだから、うさぎ。→疑問、やっぱり無し。]
恐らくそれだけだ。

この話を聞いて、あーみはるの家だけじゃないんだ、と安堵すると共に。

世の"母"という体の中には、〔自分、間違ってない〕成分が90%位、配合されているに違いないと確信した。

もう、子どもはすべてを受け入れるしかない。

そのうち笑える日が来る(かも知れない)。

最近、みはるは、余り得意ではないりんごだけれど、"医者要らず"なので、意識して食べるようにしている。

食べるたびに、身を刻まれて作られた、うさぎりんごを思い出す。

もういい。うさぎりんご事件は時効にしよう。

今日は七夕。
コンビニで印刷をして来た可愛いペンギンさんの短冊に、"里美が沢山笑っていられますように"と書いた。

すべてを受け入れた後の娘は、健気になるのである。

ー完ー

本日もお読み頂きまして、誠にありがとうございました。m(_ _)m

みはる

※本日の写メ→昨年の小田さんのライヴの日に収めたショット。小田さんファンの聖地。南青山のFar east cafeにて。今年のライヴショットも近々挙げます。

〜2019'7'7(日)

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