空間計画の作り方
篠山盆地を横から見ると、 左の図のように、 お盆のような形をしています。 お盆の南北方向の底辺はせいぜい3km程度の幅しかありません。 そして、お盆の深さは600m程度です(盆地の底が標高200m程度で周りを取り囲む山々の標高が800m程度)。
『空間とは何か。』で定義した用語に沿って説明すると、篠山盆地の「環境」はこんな形をしています。山と森林、農地と樹木、町並みや集落などの事物の存在(環境)によって「空間」が閉じられています。
ちなみに、淡路島を横から見ると、右の図のような形をしています。海辺の町では、海と打ち寄せる波、港と舟、海岸の町並み、背後の山々などの事物の存在(環境)によって「空間」が開かれています。お盆の底に立って空を見上げる若者と、海の縁に立って水平線を眺める若者では、世界の見え方が違うはずです。
さて、この縁のところ(環境)をどのようにデザインするか、どのように計画するか、それが今回のテーマになります。以下をご覧ください。
空間計画は「面」と「線」と「点」で作ります。「面の計画」とは土地利用計画のこと、「線の計画」とは 道路や河川の整備計画のこと、「点の計画」とは建築などの施設整備計画のことです。(実は、自分の部屋の模様替えも、新居の設計も、面と線と点で計画できます。いや、みんな、そのように意識しないだけで、そうしてるかと思います。)
まず「面の計画」を作りましょう。地表面を、町、集落、農地、森林などに分けます。 面の計画は、既存の土地利用をベースにして、土地利用転換のあり方を計画すれば良いでしょう。
次に「点の計画」を作りましょう。既存の拠点施設をベースとしながら、これから整備したい拠点施設を計画に盛り込めば良いでしょう。
次に「線の計画」を作りましょう。既存の道路や河川をベースにしながら、「点」を結ぶためにこれから整備する道路などを計画に盛り込めば良いでしょう。
このとき、 この面と線と点をどのように組み合わせるかが大切です。『空間とは何か。』で書きましたが、「空間を計画する」とは「環境を統合する意思を持つ」ことでしたね。面と線と点が、自然や社会の環境要素として、合理的に整合していることが大切です。
そして、もう一つ。 この面と線と点をどのようなクオリティ(質)で作るのかを考えることが重要です。「質の計画」は、風景や景観に関する計画です。美しい空間は、良き面と良き線と良き点とその質が形造るのです。
さらに、空間計画をまちづくりの面から見てみましょう。
「面と質の計画」は守備的な計画ですから、計画を作った後は「待ち」の状態、 受け身になります。 実際に開発行為や建築行為が起きたときに、はじめて計画が機能するからです。
丸山集落のように開発圧力が極めて低い地区では、せっかく計画を作っても、その計画を適用する機会は稀なのです。一方で、「線と質の計画」「点と質の計画」は攻撃的な計画です。 計画することが実際の整備に繋がっていきます。事態が前に転がる。
面(ゾーン)は守備(ディフェンス)、線(パス)と点(ゴール)は攻撃(オフェンス)と例えることができます。ディフェンスは大切で、オフェンスもまた大切です。そして、そのクオリティも。