人の手の力
若い頃からマッサージやトリートメントを受けるのが好きでした。
多少お金がかかっても自分へのご褒美に受けに行っていました。
初めてのマッサージは英国式マッサージだったように思います。中学生の頃に母に連れられて繁華街にあるお店に行きました。
すごく気持ちいい。でも60分って短いな…。そんな事を感じたのを覚えています。
足ツボマッサージ、タイ式マッサージ、台湾マッサージ、アロマトリートメント、ヘッドスパ、カイロ、鍼灸、整体など色んな体験をしました。
安くはないけど、人に体を触ってもらうのは気持ちいい。心地いい。だから惜しまず施術を受けていました。
それでもいつも思うのです。60分って短いな。90分って…180分は身体がだるいな。とか。
満足できない。
施術をする人の技術の低さや、手が合わないなども体験しました。
訪問看護師になって気付いた事があります。
作業としてマッサージや、トリートメントをしている人の手は気持ちよくないのです。
ただ手順を覚えただけでは気持ちよくなれない。
でも一人だけ手が合う施術者さんがいたんです。
高校生の頃私は吹奏楽部で、オーボエを吹いていました。楽器経験者の方はわかると思うのですが、楽器って地味に重いんですよね。同じ位置で固定しなきゃならないし肩が凝ります。同じ頃、ダイエットをしていた事もあり、体を整える目的で父から整体を勧められました。(ダイエットは食事制限によるものだったので16キロほど痩せましたがリバウンドで40キロ近く増えその後の生活がすごく大変になったので健康的なダイエットをお勧めします)
その整体師は、1回〇〇円と言う表記の仕方で施術をしていました。時には90分以上の日もあれば、60分で終わる日もありました。でも満足感はいつも同じです。凄い人だ、凄い手だ。私を思いやり、慈しみ施術をしてくれている。
この人との出会いもかけがえの無いものになりました。
何年か通いましたが、その整体師さんが引っ越すことになり家から遠くなったため、通う事が出来なくなりました。
その後何年も同じような手を探していますが、見つけられていません。
あの人の手は活力を与える手でした。癒しの手でした。何より想いやりのある、あたたかい手でした。
私の手もそれを目指しています。