私にもわからない

私は、夫と結婚する前映画やドラマのシーンで、問題のある彼氏と一緒にいる女のキャラクターをを見ながら「アル中とか何か問題ある彼氏とか別れればいいのにな。私ならすぐ別れるけどな」と思っていた。

しかし、現実は違った。

私がまだ「結婚」という文字から遠い所にいた頃、

「将来結婚するなら、お酒もたばこもやらない、優しい人とする!」

と決めていた。

しかし、現実は違った。笑


私が夫と出会った時、夫は人並みにタバコを吸い、お酒を飲んでいた。

普通の人だった。

でも、もしかすると普通より可愛い人だったかもしれない。笑

別に私は彼の彼女になるつもりもなかったから、タバコを吸い、お酒を飲む「友達」は、私にとって問題ではなかった。

気が付くと彼は私に一番近い友達になっていき、友達以上になってしまった。

「友達」の関係だった頃も、彼も私の前でタバコを吸うことはあまりなかったし、私も特に気にしていなかったけど、付き合うようになってから、事あるごとに「たばこは嫌い」ということは伝えていた。ただ、「友達」の関係だった頃と変わらず、たばこもお酒も、一緒に過ごすには困らない程度だったから、私もそこまで深くは気にしていなかった。

私たちはよく居酒屋へ行っては、色んな話をした。そこらへんによくいるカップルと同じように、楽しくご飯を食べ、お酒を飲みながら、色んな話をした。どれだけ話しても、話は尽きなかった。

私はお酒が強い方ではなかったので、人並み以下。

彼はお酒が強い方だったけど、人並み程度に飲んでいた。


結婚する前、彼と遊びに出かけたとき、彼がお酒で問題を起こしたことはなかった。もしかすると、彼は私といる時だけは、特に気を付けていたのかもしれないけど・・・

私が彼と結婚してもいいかなと思った理由のひとつは

「優しかったから」

これまで出会ったどんな人より優しくて、いつも私の事を一番に考えてくれて、私のことをいつも笑顔にしてくれた。「私の事を一番に」とは言えど、彼は勉強も仕事も、とても頑張っていた。

私が仕事やら何やらで心底疲れていた時も、彼はいつもそばにいてくれた。私がイジワルしても、「イジワルしないでよ~」と笑いながら抱きしめてくれた。

結婚する前、私が彼に対して怒る事はあったけど、彼が私に対して怒る事はなかった・・・

結婚する前、私が彼の前で泣くことはなかったけど、彼は何度か私の前で涙を見せたことがあった・・・

彼と一緒にいる時、私は何も飾らずにいることができた。

(別に干物女になったというわけではない・・・)


彼をいつも笑顔にしてあげたかったし、彼の為にいつも綺麗でいたかった。


私は、私の家族や友達に彼のことを話す時、「私を癒してくれる存在」と言うことが多かった。私も、その頃は大して人生長く生きていなかったし、どれだけ人生に疲れていたのかもわからないけど、どんなにつらい事があっても、彼といることで毎日頑張ることができた。

文字通り「癒されていた」のだ。


ある日、彼と浜辺に座って、海に沈んでいく太陽をぼーっと眺めていたことがあった。その時、ふと私の脳裏に、浜辺に座っている老夫婦のようなイメージが浮かんだ。

「こーなったらいいな」

と心の中で思いながら、ほとんど沈んでしまった太陽をまたなんとなく見つめた。


付き合って3年程経ってから、彼がプロポーズをしてくれた。

私はもちろん「OK」した。

それから一年とちょっと経った頃、私たちは結婚した。

今は、それから8年が経っている。


夫がアルコール依存症を拗らせる前、夫がこんな風になってしまうなんて思ってもみなかった。

私はただ、普通に結婚して、子供を産んで、それなりに楽しく幸せな家族を築けると思っていた。でも、私の人生はそれとは少し違った。

私たちにはまだ子供はいないし、夫がアルコール依存症を拗らせた後、私は彼の元から去ることもできたと思う。それでも、今まだ彼のそばにいる。


私にもわからない。

何故だかわからない。


彼と別れる事がお互いにとってベストなのかもしれないけど、まだそれをできないでいる。たぶん、よっぽど強い「別れる理由」が必要なのだと思う。

私たちには色んな思い出がありすぎるから。

私はただ、彼に幸せになってもらいたい。

そんな気持ちで私は今、彼が彼の幸せを見つけられる方法を模索している。


私が最近気づいたこと、それは

「彼の幸せは私には決められない」

「彼だけしか彼自信を幸せにできない」

ということ。アルコール依存症は病気だけど、彼の脳、体、彼自身が辞めたくない/辞められない理由があるから続けているわけで、もしかするとこれが彼の求める幸せなのかもしれない。


彼には彼の人生を生きる権利があるから。

反対に、私にも自分自身の幸せを求める権利がある。

だから、別に彼と別れたっていいのだけれど・・・


まだそれをできない理由があるから、自分が納得するまで彼の病気と向き合いたいと思っているんだと思う。それが、今の私の幸せの形なのかもしれない。

ー おわり -

私の投稿を読んで下さり、ありがとうございます。


☆風の子のつぶやき☆

パートナーシップには色んな形がある。だから、自分と自分のパートナーの形を、周りの言う幸せの形にはめ込まなくていいと思う。

自分が欲しているものは、自分にしかわからない。

だから、自分の幸せも自分にしかわからない・・・

周りの雑音で自分の声が聞こえなくなった時は、一人になって自分の声だけに集中してみよう。なんだかんだ言って、自分の人生は自分でしか変えることはできない。周りの人が自分の希望通りに人生を変えてくれることはないと思うから・・・


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