『腋の薔薇時計』(裏お題)#毎週ショートショートnote
*秘密の時間
その当時には
都心の大通りに面したショーウインドウで
生身の女性がマネキンとしてポージングしていました。
私もそんなモデルの一人でした。
ガラスケースの中から
マネキンの私は表情を変えることもなく
道行く人の人生を垣間見るように
長い時間を過ごしていました。
ステージの私の傍にはいつも
薔薇で彩られた【薔薇時計】があって
そのお仕事を辞めることになった時にも
お願いして・・・
夢も一緒に ☆☆☆
その日を満月の日にしようって決めて
カレンダーに月と夜って書いたら
字が寄り過ぎていたせいか【腋】って見えて。
以来、その字が満月の印になって
私の秘密のサインになりました。
でも、飛べるのはただ一ヵ所。
都心の大通りに面したビルの
ショーウインドゥ・・・・
私の人生で
私が最も輝いていた時間。
☆☆☆
今日も満月の夜。
いつものように衣装も決めて。
いつものように
タイムマシンの【薔薇時計】と一緒に。
私の 晴れ舞台の
ベランダのステージへ☆
さぁ、50年の時を超えて・・・!!
【Fin】
(410字)
*このお話はフィクションであり、実在の人物、場所、出来事等とは
一切の関係がありません。
*こちらに参加させていただいてます。
今回のお題は 『秋の空時計』
裏お題が・・・『腋の薔薇時計』でした。
〇(↓下のリンクはマネキン関連の物語です)
『クリスマスの朝に』(マネキンとリストラ男の物語・1)
『瓦礫の街で』(マネキンとリストラ男の物語・2)
『人間になってからの初めての涙』
(マネキンだった女とリストラ男の物語・3)
『何度目かのクリスマス・シーズン』
(マネキンだった女とリストラ男の物語・4)
『旅行計画』
(マネキンだった女とリストラ男の物語・5)
『変哲ないある日に』
(マネキンだった女とリストラ男の物語・6)
『記憶の先に』
(マネキンだった女とリストラ男の物語.7)
『遠い日に』(マネキンだった女とリストラ男の物語.8)
『オレたちの救出作戦』
(マネキンだった女とリストラ男の物語・9)
『ショーウインドウの前で』
(マネキンだった女とリストラ男の物語・10)
『イルミネーション計画』
(マネキンだった女とリストラ男の物語・11)
『中間報告』(マネキンだった女とリストラ男の物語・12)
『サンタクロース・デビュー』
(マネキンだった女とリストラ男の物語・完)