【腋の薔薇時計】③(裏お題)#毎週ショートショートnote
*告白の日に
彼女は薔薇が好きだと言った。
その一言で彼女へのプレゼントが決まった。
時計技師として【薔薇時計】を造ろうと思った。
薔薇の中で時間を刻む時計は当然だが
薔薇そのもののデザインにも時間を費やした。
部品の一つひとつに・・・
その作業の全てに僕の想いを込めて・・・・・!!
告白の日。
彼女との待ち合わせのレストランで
向かい合わせに座った。
もちろん、彼女へのプレゼントは用意できている。
彼女に気付かれないように
そっとケースから出した・・・僕の自信作!
彼女は喜んでくれるだろうか?
サプライズに突然目の前に差し出された
【薔薇時計】をどう思うのだろう?
時計を握りしめて・・・
差し出そうとしたと同時に彼女が言った。
「好きな人ができたの」
・・・えっ?
「別れて欲しいの。」
行き場を失ったプレゼントを握りしめたまま
僕は、取り繕うように腕組みをした。
平静を装って彼女を見つめた。
僕の想いの全てを費やした【薔薇時計】が
僕の腋で哀しい時を刻んでいた・・・・
【了】
(410字)
*このお話はフィクションであり、実在の人物。出来事等とは
一切の関係がありません。😅
*こちらに参加させていただいてます。
今回のお題は 『秋の空時計』
裏お題が・・・『腋の薔薇時計』でした。