SS【卒業】#シロクマ文芸部
*「卒業の」から始まる小説・詩歌・エッセイ・・・
最終日。参加させていただきます。😊
*決別の日に
卒業の時がきた。
テロ組織の配下にある犯罪グループの抗争があり
《 A 》は凝りもせずに加担。
容赦のない殺人を繰り返した。そろそろ限界だ・・・!
逮捕された《 A 》は恩赦の条件に兵士として戦地へ赴く決断をした。
いよいよ殺戮し放題ってワケか。
「・・・ん? 誰か・・・何か 言ったか?」
( キミを卒業しようと思う。
だから、せめてお別れの挨拶でもしようかと思った。
キミとは・・・と言っても私もキミの一部だったが、終わりにしようと思う。
後はキミの自由にしてくれ。)
「・・・意味がわからんぞ? 俺の一部だったと? なんの冗談だ!
俺に憑依でもしてた化け物か?」
( 聞き捨てならないな。私はキミが産まれた時から一緒にいた。
キミが意識しなかっただけの存在だよ。)
「なに言ってやがる!? わかるように言えよ!!」
( 私はキミの一部だった・・・キミの《 良心 》だよ。
私なりに、なんとかキミを改めさせようと努力したが無駄だった。
私はキミを卒業して旅立つことにしたんだ。 理解できたかな?)
「良心 だと?! ふざけるな!! そんな冗談が通じるか?!
俺は俺で・・・おまえなんか知らねぇぞ!!」
( キミがどう思おうと自由にしてくれ。私もキミから離れることで
自由にさせてもらう。ただ、長い間一緒にいた礼儀として・・・
最後に別れの言葉をかけさせて貰っただけだ。)
「・・・おまえが消えたら・・・俺はどうなる? 何か変わるのか?」
( さあね。大した変わらないと思うよ? なんせ、今までの人生で
私の思いに同調してくれたことがなかったからね? あえて言えば・・・
初恋の ルイにどうすればいいのかキミが途方に暮れていた時
私の思いを初めて受け入れてくれた時かな? 幸せだったろ?)
「ルイは・・・彼女は敵対する組織の連中に・・・
オモチャにされて殺された!!
そのことで俺の心は死んだんだ!!」
( たぶんその時から 私とは・・・ほぼ決別していたのだろう。
キミが選んだ生き方だし、この先の戦地でも心が痛むこともないだろう。
これからは自由に誰でも思うままに殺しまくるといい。
こうしてキミと話すのは最後になったが、私もやっと重荷を下ろせる・・・
じゃ、行くよ? Goodbye ♪ )
「・・・・・・?!」
その後の《 A 》の《 良心 》の行き先はどこなのだろう?
それはまた別の物語である。
半年の訓練期間を経て《 A 》は最前線に配属された。
後に戦場での【奇跡の英雄】と称えられ
数々の勲章を得て大将軍となった男の
始まりの些細な出来事だった。
【了】
*このお話はフィクションであり
実際の出来事とは一切の関係がありません。