『忍者ラブレター』② #毎週ショートショートnote
*彼女から?!
海外の地にいた愛する彼女の
不慮の事故による訃報の知らせを受けた時
自分に流れていた時間までが止まった思いがした。
数日後に私宛に彼女の遺品の一つが届いた。
ある意味で彼女の分身ともいえる物・・・
【忍者ラブレター】だった。
☆
久々に目にした【忍者ラブレター】は
かつて流行したAI搭載の腕時計型アプリだった。
約1年間・・・
身に着けることによって持ち主の感情にシンクロし
まるで分身かのように本人の意識を再現する・・・
その用途は、本人の想いを正直なままに
あらかじめシンクロ設定されている相手に
文字化された《ラブレター》として
一日に一度、自動送信される機能があった。
他の誰の心に触れることなくやり取りされることから
その装置は【忍者ラブレター】と呼ばれるようになった。
受信者は自分の装置で空間型のタブレットを表示し
恋人からの 正直な心の文面を読む・・・
そのレトロで幸せな やり取りがヒットして
一時代を象徴するかのように流行したのだが
潮の流れが引くように廃れた装置でもある。
持ち主の正直な想いのままに《文章化》されたものは
《愛》もまた容易に憎しみに変換される武器となる
宿命を持っている・・・!
誰もがそのことに気付く頃には
ブームは過ぎ去り、装置は捨てられた。
☆
彼女の心の分身ともいえる【忍者ラブレター】。
彼女の《死》によって、その機能の全ては停止している。
外部からのあらゆるアクセスは出来ない装置なのだが
たった一つ
《シンクロ設定》されている《愛する人の装置》からだけは
彼女の心の履歴に触れることができる・・・
その時だった。
☆☆☆
私の装置に彼女からの《ラブレター》が届いた?!
《今》の彼女から?!
タブレットを開くべきなのかどうか・・・?
私は迷っているのです。
【未】
(719字)
*このお話はフィクションであり、実在の人物、商品、出来事等とは
一切の関係がありません。
*こちらに参加させていただいてます。
今回のお題は 『忍者ラブレター』
裏お題が・・・『信者ブラスバンド』でした。
↑*この作品、有料設定だったのですが、あまりにも読者の数が少なく、、
今回、note三周年を祝して無料設定に切り換えました。よろしかったら
見ていただけると幸せです。
かなりの長編なのでボリュームには自信があります☆(笑)
↓こちらも、やや長編で・・暇つぶしになると思います。
↓ 蒸気機関車も出てくる・・・お話です。(短編)
↓ こちらは昔の北海道のお話・・・(短編)
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