インドを編む山荘 #毎週ショートショートnote
お題は【バンドを組む残像】。裏お題は【インドを編む山荘】。
2024.10.04夜までにだいたい410字くらい･･･
＊裏お題で参加させていただきます。😊
＊チョモランマにて
チョモランマの頂上を見上げる位置にその山荘はあった。
誰も訪れることのない朽ちた山荘には老婆がいて･･･
微かに震える指でインドを編んでいた。
インドとは
正確にはインドの国鳥【インドクジャク】のことである。
老婆が少女だった頃に山荘の主に奉公に出されたのは
いつの頃だったかも忘却した遠い昔のこと･･･
命じられるままにインドクジャクを編み始めた。
山荘から見下ろす下界には どこまでも海が広がっていて
かつて様々な大陸があったことなど夢の彼方である。
インドクジャクを編むことに費やした老婆の一生も
終わりの時を迎えようとしていた。
朧げな遠い記憶には、少女だった頃の微かな残像が遺り･･･
恋する人への想いを込めて 編んだことを思い出す。
あと一網みで･･･！！
少女だった頃の笑みを微かに浮かべて･･･
老婆は、編み終えたと同時に息を引き取った。
さらに時が過ぎ･･･
朽ちた老婆の身体は塵となって風に煽られ天に舞った。
そして･･･
飛翔するインドクジャクの背には
笑みする 少女の姿があった。
【了】
（428字）
＊このお話はフィクションです。😊
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