『口移しサドル』① #毎週ショートショートnote(裏お題)
*主役はサドル
平日の仕事休みに散歩していると不思議な光景に出会った。
不思議と言っても、小学校の変哲ない運動会なのだが、どこか普通ではない雰囲気に満ちていた。興味が湧いてきて、父兄でもないのに端から眺めることにした。不思議と言ったがその訳は・・・児童の全員が《サドル》を抱えていたからだ。しかも競技の全てにおいてその《サドル》が主役かのような存在を主張していたからである。
徒競走では各自が各々に《サドル》を身に付けて走っていた。
腰に縛りつけていたり、平安時代の烏帽子(えぼし)のように頭に被っている児童もいた。リレー競技のバトンは当然のように《サドル》の受け渡しである。なんだ・・・これは? こんな学校があったのか?! 近頃流行りの平行世界にでも迷い込んだのか??
どうやらメインの競技が始まるようだ。
女子児童の可愛い声でのアナウンスが流れた。
「さぁ、いよいよ最後の競技『 口移しサドル 』です!
みなさん頑張ってください!!」
・・・んっ? 口移し? なんだそれ?!
競技が始まった!
フォークダンスで聴く軽快なBGMが流れ始めた・・・♬
クラスごとに一列となり
サドルを銜えた児童が後ろの児童に《 口移し 》で渡し
次の児童が口で受け取り ・・・
次の児童にリレー方式で次々と・・・?!!
子供の口でも銜えられるように、サドルには紐が
巻かれていて工夫はされているようだが・・・
なんだこれ?! 感染症対策はできているのか?!!
キミたち・・・間接キス・・・って、知ってるよね?!
周りの父兄は嬉しそうに大声で応援している・・・?!
大声援の中で・・・
・・・私は判断能力を失ってしまったようだ。
そういえば・・・最近の私には疲れが溜まっている・・・
平行世界でないなら・・・夢を見ているに違いない・・・!
白昼夢であることを・・・切に願った!!
【♬】
*文字数過多・・・失礼しました。
*この物語はフィクションであり、実在の人物・出来事・場所
名称・事件等とは一切の関係がありません。
〇たらはかに様の企画に参加させていただきました。
今回のお題は「生き写しバトル 」。
裏お題が「口移しサドル」でした。