『親切な暗殺』① #毎週ショートショートnote
*微かな風のように
「もし、その時の俺が
どんなに幸せそうにしていても
約束通りに実行してくれ!!」
俺は《あいつ》の言葉を受け止めた。
俺が殺し屋だってことを知ってから
自分の言った言葉を覚えているか?
そのことさえも事前に確認しない約束だったな?!
☆☆☆
とうとう十年が過ぎて《その時》が来た。
あいつの言葉通り《あいつの今》がどんなに幸せだろうと
俺は容赦しない。
親友としてではなく《プロ》としての仕事を全うするだけだ。
その瞬間にお前がどんな状況にあろうと・・・
お前に流れていた時間を確実に止めること。
それが俺の仕事だ。躊躇はしない!!
☆
十年ぶりの《あいつ》が前方から歩いてくる。
愛する女性と小さな子供・・・・
絵に描いたように幸せそうな三人。
あいつに俺の姿はわかるまい。
互いの心知らずのままに
すれ違う一瞬があればいい・・・!!
☆☆☆☆
ただ一陣の風と共に
《あいつ》は血の一滴を流すこともなく
幸せな笑顔のままに人生を終えた。
俺にくれた 最後の仕事に感謝する。
【チリン♪】
(410字)
*このお話はフィクションであり、実在の人物、出来事等とは
一切の関係がありません。
*こちらに参加させていただいてます。
今回のお題は 『親切な暗殺』
裏お題が・・・『新説なピン札』でした。