『金持ち教習所』 #毎週ショートショートnote
*謎のままに
東京の『ゼロ』宣言もあり、都会地の公園や道路等から河川敷にその生活の場を構えるホームレスが増えているという。
多摩川沿いにあるその河川敷でも、昔からの住人に加えて新人のホームレスの数も増えているのだという。河川敷では河川法があるものの、行政の無関心を利用して、それなりの家を構える者も多い。彼らの過去や人生もまた、悲喜こもごもである。
そんな一角で、ある日、銃撃事件が起きた。
黒装束のスーツの一団が、とある老人が暮らしていた簡易家屋の中を探つていた時、別の軍装の一団が訪れ、両者で撃ち合いになったのだという。
だが、ほんの数刻をもって何事もなかったかのように彼らは去り、警察の捜査も何故かおざなりに済まされて・・・平穏な河川敷に戻った。
一連の出来事は、河川敷に住む住人にとっては映画撮影現場を見ているような夢の中の出来事のようだったという。
現場となった家に住んでいた老人は、数カ月前に亡くなったばかりだったが、家の表札には『金持ち教習所』と書かれていたのだという。
いかに自分が大富豪で、使いきれなくなった財産をどうしたかとか、誰も信じていないホームレス仲間たちに語っていたという。
いつも幸せそうな笑顔でいた その老人が何者だったのかは誰も知らず、仲間たちに置き土産のように遺された『トランプ・カード』の本当の価値も・・・
まだ、誰にも気付かれてはいない。
【了】
*この物語はフィクションであり、実在の人物・出来事・場所
名称・事件等とは一切の関係がありません。
*こちらに参加させていただいております。よろしくお願い致します☆
今回のお題は 『金持ち教習所 』
裏お題が・・・『壁持ち強襲女』でした。
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