【命乞いする蜘蛛】#毎週ショートショートnote
お題は【命乞いする蜘蛛】。裏お題【錦鯉釣る雲】。
*最初に命乞いしたのは女郎蜘蛛でしたが、その後の顛末はまさかの・・・?
参加させていただきます。😅
*『お嬢吉三』番外編
吉三が目を覚ましたのは 何処ともしれぬ山の朝だった。
自らは不可思議な粘性の糸に全身を包まれ身動きも出来ない?
見ると・・・朝露に輝く巨大な蜘蛛の巣に囚われているようだった。
(なんだ? どうしてこんなことに・・・?!)
「おや、お目覚めのようでござんすね?」
声の方に顔を傾けると、そこには巨大な蜘蛛の顔があった。
(えっ? ・・・女郎蜘蛛?!)
「おやおや、お忘れとは つれないでありんす。
私はあんさんに殺められた夜鷹の《おとせ》ですよぉ?
殺められたフリをしただけでしたけどねぇ、、ウフフ…」
(命乞いしていた夜鷹の女郎が・・・女郎蜘蛛だったと?)
「ほんにすまないねぇ。昨夜は百両に目を眩ませた上に
《厄払い》できたと上機嫌でしたねぇ?
夜鷹を殺めたつぐないでありんす・・・
美味しくなるまでゆっくり待つでござんす・・・
それまでしっかり熟成しておくんなまし・・・
ほら、命乞いにも耳を貸さないで私を殺めたあとに
上機嫌で唄ってた言い回しを もう一度聴かせておくんなましな?」
「そ、そんな・・・?!」
「おや、唄わないと、すぐにでも・・・いただこうかしら?」
「わ、わかった! う・・・唄うから!!
食べるのは勘弁してくれないか~~!?」
〽️ 月も朧に 白魚の 篝も霞む 春の空~~
冷てえ風も ほろ酔いに 心持ちよく うかうかと
浮かれ烏の ただ一羽 ねぐらへ帰る 川端で
竿の雫か 濡れ手で粟
思いがけなく 手に入る百両・・・
ほんに今夜は 節分か 西の海より 川の中
落ちた夜鷹は 厄落とし・・・
豆だくさんに 一文の 銭と違って 金包み
こいつぁ春から・・・
縁起が・・・
いいわけないだろォおおお~~~~?!!
泣きながら唄う吉三の運命や如何に・・・?
【実食?】
(711字)
*このお話はフィクションです。
歌舞伎で有名な『三人吉三廓初買』や『三人吉三』を模してはおりますが
事実に基づかないまったく別のものです。
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