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『カフェ4分33秒』② #毎週ショートショートnote
*市役所・市民課・相談室にて
(『ボクでございます』番外編)
「市民課の、ボクでございます。
T様のご相談内容ですが・・・繰り返します。
とあるサイトにおける企画として『カフェ4分33秒』をテーマに文章の
募集をなさったところ、『4分33秒』として有名なアメリカの音楽ジョン・ケージによる【無音】を踏襲するかのように【無字】の作品が十数点も
送られてきて困っているということでございますね?
幸い、市民課の同僚にはボクの彼女…いえ、このようなご相談には
適した者がおりましたので同席させました。彼女でございます。」
「市民課の橘と申します。
T様のご相談ですが、実際に『カフェ4分33秒』として応募された作品を
見せていただきましたが、ほぼ単に『4分33秒』に倣って【無字】のままに
投稿された、ある意味《愉快犯》のものとお見受け致しました。
例え【無字】であろうと、作品に向かった作者の想いがある種の【質量】を
伴って刻まれます。大半の作品に私の《共感覚》で接しましても・・・
《色》も《意味》も感じることは出来ませんでした。
それでもたった2編にのみ、作品としての真摯な想いが伝わってまいりました。1篇には感動いたしましたし、もう一遍には憤りさえ感じる重いテーマが込められていました。」
「それでは、その内容を教えていただけますか?」
「橘に代わりまして、ボクでございます。
申し訳ございませんが、彼女がお伝えできるのはここまででございます。
作品の伝達手段に彼女の感情を通じて どんな齟齬が生じないとも言い切れ
ません。我々、市民課として対応できるのはここまででございます。
申し訳ございません。 ボクと彼女・・・橘でございました。」
市民Tは行政の手を借りても尚、やり切れない気持ちを背負ったままに
市役所を後にした。2編の『カフェ4分33秒』の判断をどうすべきなのか・・・
市民Tの悩みは、さらに闇に沈むのだった。
【未了】
*このお話はフィクションであり、実在の人物、施設、出来事等とは
一切の関係がございません。
*こちらに参加させていただいてます。
今回のお題は 『カフェ4分33秒』
裏お題が・・・『パフェフンフン33秒』でした。