『 シンデレラのように 』 #シロクマ文芸部
「花火と手」から始まる小説・詩歌・エッセイなど・・・
締切は8/18(日)23:59。
*参加させていただきます。😊
*シンデレラのように
花火と手・・・
それは綺麗に弾ける花火を手にしたくとも届かない
少女の想いのようでした。
☆☆☆
夏祭りの夜。
少女が住む家の外から、新しい家族となった義母と連れ子ふたりの
花火をしている楽しそうな声が聴こえてきます。
( いいな・・・わたしも花火をしてみたい・・・!)
少女はお祭りにも花火にも誘ってもらえませんでした。
家族になった人たちの楽しそうな声を聴きながら、少女は自分と
シンデレラを重ねます・・・
☆☆☆
少女がグリム童話の『シンデレラ』を手にしたのは
小2になって転校してきたばかりの小学校の図書室でのことでした。
シンデレラのお父さんは二度目の女性と結婚しました。
新しいお母さんはとても意地悪で、二人の義理のお姉さまからも意地悪を
受け、掃除、洗濯、食事の支度などすべてをシンデレラに命じました。
そんなシンデレラの前に魔法使いのお婆さんが現れて
王子さまとの出会いの後に幸せになるというお話・・・☆
少女は少しだけ似ている自分の境遇をシンデレラの物語に重ねて
いつかは幸せになれる夢を持つようになりました。
☆☆☆
笑い声の合間に
少しだけ聴こえる花火のはぜる音で、その姿を想像します・・・
( キレイだろうな・・・?!)
☆☆☆
外が静かになり、家族は夏祭りに出かけたようでした。
少女は外に出て、言われたように花火の後片づけをします。
(ここからでも花火大会の花火・・・見れるかな?)
突然、同級生の男の子に声をかけられました。
「あれ、花火大会・・・見に行かないの?」
「あっ、留守番しないといけないから・・・」
「なんだよそれ? ひでぇな!
それ、花火だろ? いっしょにやったの?」
少女は首を横に振ります。
少年は少女をちょっとだけ見た後に・・・
「いっしょに花火をやろうぜ! ほら
夜店で買ったやつがこんなにあるんだ!」
「・・・・・・?!」
☆☆☆
少女の家の庭で、少年と二人の花火大会が始まりました☆
「きれい・・・すごくキレイ!!」
「だろ? 全部、使っちゃおうぜ!!」
「・・・花火大会行かなくていいの?」
「ここの花火大会でいい!」
少年がちょっとだけ王子様に見えました。
少女は初めて、自分の手で花火に触れることができました。
線香花火を手にする自分の手が・・・魔法使いの手のようでした。
弾ける美しい火花に少女の心も弾けました☆
まるで夢の世界のよう・・・
少女はふと、思いました。
わたしもシンデレラのように・・・!!
【了】
*このお話はフィクションです。😊