『 湿原で 』タンバリン湿原(裏お題) #毎週ショートショートnote
お題【モンブラン失言】裏お題【タンバリン湿原】
2024.9.14夜までにだいたい410字くらい
*裏お題に参加させていただきます。😊
*初秋の某日
高校の同窓会参加に〇をして投函した。
両親を事故で失い、実家もない北海道に帰郷したのは約20年ぶりだった。
同窓会は二日後である。
久々に懐かしい湿原でも見ようとレンタカーを走らせていた・・・
(・・・こんなところに?)
周りには駐車している車もないし誰もいない。
低学年の小学生・・・?
自分の車を止めて、ランドセルを背負った女の子に声をかけた。
「こんなところで何をしてるの?」
その子は何も答えずに手を一方向にかざした。
指の先を見たが、かつての側溝らしき茂みがあるばかり?
「・・・タンバリンが かわいそう・・・」
「タンバリンがあるの?」
コクンと女の子は頷いて私を見つめた。
私は車を降りて、女の子が指差した茂みに入った。
「あった?!」
側溝の茂みの中にあるタンバリンを見つけた。
手に掲げて振り返ると女の子の姿は消えていた。
道路に戻ると、脇に・・・古い花束らしき残骸があった。
ここで事故に遭った女の子だったのだろうか?
☆☆☆
予定通り 湿原を歩いた。
何故か・・・手には女の子のタンバリンを持っていた。
歩く度に チリチリ鈴が鳴っていた・・・
キョ、キョキョ、キョーッ!
タンチョウが飛来する季節には早いが オジロワシの甲高い鳴き声が
一帯に響いた。それに釣られたように樹をつつくアカゲラのドラミングが
呼応するように打ち鳴らされる・・・☆
一瞬、女の子の笑顔を見た気がした・・・
まるで急かされたように私は・・・タンバリンを鳴らした☆
野鳥と虫たちの合唱が
一斉に湿原を満たした・・・🎶
【了】
(621字)
*このお話はフィクションです。