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『音声燻製』③ 毎週ショートショートnote



膨張する太陽の熱気と地表の香りに
適度に燻された地上では
ありとあらゆるものが燻製となり
その姿は哀しいまでに賑やかな
無人物産展を模した一時期を飾った。

かつては生物であった
数々の商品の上では姿は見えないものの
やはり燻製となった
音声たちが飛び交っていた。

主を離れて自由となった音声は
燻製風味の多彩な美声で
滅びゆく地球の歌を歌った。

その歌声は・・・
生き物たちの歴史を遡った
壮大な合唱となり
大地と空を燻して染めた。

・・・

誰が知るだろう 
宇宙にあった銀河を

誰が知るだろう 
太陽系に地球があって
ありとあらゆる生き物たちが
いたことを

誰が知るだろう 
その哀しくも輝かしい
無垢で無限の生きざまを・・・・

今この燻された
尊い身の美しさを
宇宙の全てに大バーゲン!!

・・・

そうでなくてはならない束縛を離れた音声は
死の果ての未来に無限の悦びを描いて
噤むこともない思いのままに地上で舞い踊る・・・

燻された音声たちは
流すことも叶わない涙を
永遠の夢に抱いて・・・・
  


【了】(410文字)

 
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〇たらはかに様の企画に参加させていただきました。
今回のお題は「音声燻製」でした。

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