『 Tシャツ売りの少女 』 オラオラするTシャツ手触り③(裏お題) #毎週ショートショートnote
*雪降る夏の日に
凍える夏の日のことでした。
「だれか・・・オラの Tシャツ、買ってくんねだか?」
少女はリヤカーに山のように積んだ Tシャツの前で
道行く人に声をかけていましたが 売れる様子はありません。
「この寒い夏に Tシャツ着る奴なんかいねえぞ!」
時折、冷たい言葉が投げかけられるくらいでした。
親方には Tシャツが10枚売れたら・・・
パン一個もらえる約束になっています。
まだ、一枚も売れていません。
今日も何も食べられないのでしょうか・・・
「こんなところでどうした?
んっ?Tシャツを売っているのかい?
いいだろう。ぜ~んぶ買ってあげるよ!」
突然、通りかかった紳士に言われて
少女はボーッとしたまま立ちつくしていました。
「オラの、、オラの Tシャツを・・・買ってくれるだか?」
紳士は、少女の凍える手を取りお金を渡しました。
「・・・こんなに? こんなにくれるだか?!
オラ、オラ・・・?!」
少女の Tシャツが《 オラの手触りの温かさ 》のキャッチフレーズと共に
本来の夏の暑さを呼び覚ますかのように・・・やがて爆発的に売れることを
少女はまだ知りませんでした。
【おしまい】
*全てフィクションです。
*こちらに参加させていただいてます。
今回のお題は 『イライラする挨拶代わり』
裏お題が・・・『オラオラするTシャツ手触り』でした。
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