狸小路
明後日札幌を発つ
今日は最後に大好きな商店街を一往復してきた
ここ最近で一番気持ちの良い風が控えめに吹いていて、札幌でもようやく春が支度を始めたような気がする。
狸小路は全長1キロ弱、1丁目から7丁目まであるアーケード街である。今年で148周年らしい
俺はここが大好きなのと、空いた電車に乗れるからという理由で普段降りるべき駅を一つ飛ばして大通りで降り、狸小路までの地下街を歩いて毎日下校していた。
アーケードを歩くのは気持ちが良い
飲食店、アパレル、ゲームセンターから老舗の刃物の店まで並んでいる狸小路は何回行っても飽きない。特に用がなくても過ごせてしまう
俺はやはり雑多なものがひしめくのが好きで、丁寧な暮らしやミニマリズムというものからは遠いなと考えたりしていた。
新陳代謝が激しく、すぐにピカピカのビルが建ってしまう札幌の中心街でレトロを残しつつ、流行の発信地でもある稀有な場所である。
1〜7丁目までそれぞれの色があって、事細かに解説したいところだが、長いので割愛する。
精神的な居場所として狸小路は特別だった。
誰しもに外界や社会から守ってくれるシェルターのような居場所があるとするならば、俺の場合は狸小路がそれにあたるのだが、包容されているというよりは組み込まれているという表現の方が近い。
歩きながら思索に耽ることが多いので、狸小路はうってつけの場所だった。プラプラしているだけで満足できてしまうので、近くを通るたびに引き寄せられるように周り道してしまう。
ここまでは個人的な話だが、友達とも何度も来た。
ライブハウスの帰り、放課後の寄り道、宿泊研修の買い出し、どんな時でも狸小路は狸小路だったのだけれど、確実にその時々の俺たちに寄り添ってくれていたような気がする。
修学旅行の前に行ったドンキホーテ、大切な人を連れて行った7丁目のレコード屋、何回行ったか分からんびっくりドンキー、先輩に奢ってもらったスープカレー、テスト期間なのについつい寄ったゲーセン、半額券を貰うために閉店2分前に滑り込んだマリオンクレープ、思えば10万のギターに一目惚れして即決したのも狸小路の楽器屋だ。
今までで一番デカくて一番良いライブが出来たライブハウス、弾き語りをしたトタンの壁の前は今は駐輪場になっている。先輩のライブが良すぎて夜10時ぐらいの狸小路を歌いながらみんなで帰ったこともあった。学校で返金の臨時収入があった時はみんなでしゃぶしゃぶに行ったし、死ぬほど仲が良かった2年生のクラス会もしゃぶしゃぶだったな。うちのじいちゃんは祝い事の時は五丁目の徳寿に連れて行ってくれた。その向かいにあるおみくじで友達が10連ガチャをしたのはメチャクチャ面白かったな。
一丁目の楽器屋は学祭のポスターを貼ってくれた、その向かいには入りづらいし出づらいバンTのお店がある。先輩や友達と食べに行ったラーメン屋は火事で燃えてしまって悲しかったな。最近は四丁目の中華屋さんに2日連続行った。サツゲキにはまだ行けてないや、ちょっと後悔。結局みよしのカレーのCMの歌は何言ってるか分からなかったな。
俺の青春(とても気恥ずかしい言葉であるな)は狸小路の天井にいつまでもプカプカと浮かんでいます。ちょうどこんな風に
きっとあれだけお店があれば、誰しも自分に合った場所を見つけられると思うのよね。狸小路はあなたのためにあるし、俺のものでもあります。
俺の孤独から大切な友人との時間まで受け止めてくれた狸小路の懐の深さには感謝し切れないです。
どうかお店の並びが少しずつ変わっていっても、その寛容さだけは変わらないでいてください。
最後に狸小路の愛すべきテーマ「ぽんぽこサンバ」を聴いてお別れです 長文失礼しました
月がポンと出りゃ星がポコ
花がポンと咲きゃ鳥がポコ
いつも世界はポンポコ祭り
ポンとポコとの二人連れ
ポンポコ札幌 ポンポコ札幌
狸小路はポンポコシャンゼリゼ
さよならポンポコシャンゼリゼ
では
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