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Days of Fever

最近えらく熱が出る

昔から体は強い方ではなかったが,こんなに頻繁に体調を崩すようになったのは大学に入ってからである。冷房をつけて寝るからか。ツタが這うような頭痛がする。

昔からどこかで体力がないことを肯定的に受け止めていた部分もあった。

被害者ぶることで掴める手が沢山あることを、ガキの自分は小賢しいことに知っていた。勝ち続けると人に嫌われることや、落ち目をキュートに見せればその限りではないこと、人が嘘をつくときのぶつ切りしたような空気の境目や沢山の身の躱し方。
今思えばしょうもない浅知恵だが、せいぜい歯が取れかけた年齢にはそれで十分だった。
ただそれは単なる詐術でしかなく、むしろ本質的なことを根こそぎ持っていたまま何の教訓も残さなかった。

熱が出ると昔のことばかり思い出す。

過去と現在の不連続性を感じることもできないくらい日々は分断されていて、足取りもおぼつかない。
熱が出るとそうした空間とも掴めぬ場所を抜け出して、過去と(あるいは未来とも)接続された空間に飛ばされる。

それはいわばボス前のセーブポイントのような静けさで、待合室のようでもある。そこには熱にうなされた無数の俺が、沢山のベッドに寝転んで天井をみている。熱におかされている間、俺は連続性を取り戻すどころか、ベクトルを失って巨大な点になる。

記憶の中で最も古いベッドは豊平川沿いの総合病院のベッドで、その時は何かの病気をして点滴を打たれて寝ていた。テレビ(当時まだブラウン管)で大科学実験を観ていた俺と目が合う。20年そこらぶり。
この懐かしさは呪いだと思う。母さんを探すのはもうやめよう。

外が大好きだ 外に出たい

日々マッチョイズムを体内に封印した†暗黒龍†
のように扱っているが、そろそろマッチョにならねばならぬ。ムキムキであることと、男性らしいことを指す単語が被っているのは解せない。俺は両性的に強くなりたいのだ。男性的であることも決して悪いことではない。いや、たとえ悪いことだとしても受け入れる他ないが、しかし女性的な強さも存在していて、それを視野に入れなければ始まらぬことも多い
沢山の機会を体力のせいで失っている。普通に脳が足らん時も多々あるが、今はウサギのようになりたい。色があるところを駆けずり回りたい。外は色が変わって大好きだ。外に出たい。私は、私の体でこの社会を受け止めたい。

水ゲロ吐きそうだ。

東京を歩くと皆私より堅牢に出来てそうで少しビビる。それは溌剌とした内的な機関に動かされているというよりも巨大な重機のような強さで、新宿をゆっくりながらズンズン進んでいく。いつも気後れしている。今この国はそうした重機的な力に支えられている。少し前まではもっと燃費が悪くて火を吹くようなエンジンが、きっとこの国を稼働させていた。そしてそれには速度が乗っていたと思う。今、私の速度はインターネットに全て奪われた。

早くこの足で走り回りたいのだ、パブロン飲んで寝る

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