ChatGPTの欠点から導き出した、統合AIの必須機能(1)はじめに

AI関連の話題では、ChatGPTが大きな注目を浴びています。自然言語による対話型システムで、使いやすいのも一因でしょう。

そんなChatGPTですが、細かく調べていくと、細部に間違いが多いとの指摘があります。そのような欠点の解消は、ChatGPTの実現方法から考えて、かなり難しいようです。

先に、AIの分類を考えます。実現する機能で分けるなら、専用AIと統合AIの2つがあります。専用AIは、特定の用途に特化したAIです。例としては、入力された画像から、写っている動物名を判定するシステムなどが該当します。もう片方の統合AIは、すべての情報を対象として扱い、どんな話題でも回答するようなシステムです。話題のChatGPTも、統合AIに該当し、だからこそ話題になっているのでしょう。

専用AIと汎用AIの特徴に少し触れましょう。専用AIは、多量の学習データを使って、その中に含まれる傾向を見出します。全部のデータを同列に扱い、データに潜んでいる法則性などを発見します。そのため、同類の学習データを集めて、AIシステムに読み込ませるわけです。一方の汎用AIは、あらゆる学習データを対象とします。それらの中には、矛盾する内容や、似てるけと別物の内容なども含めます。また、明らかな嘘も混じっていて、それを識別する必要もあります。以上のように、専用AIと統合AIは、まったく異なるシステムなのです。

ここから、ChatGPTの話に戻します。ChatGPTの大まかな実現方法は公開され、誰でも知ることができます。大規模なニューラルネットワークのモデルを用意して、学習したシステムです。モデルの先頭には、単語や単語要素や記号などをトークンとして用意します。モデルには、数千万個の重み値、それを利用した複雑な式が含まれます。学習用データとなる膨大なテキストを用意し、独自のアルゴリズムによる機械学習を実行し、重み値が計算されて決まります。つまり、式と重み値の集まりが、学習内容となるのです。モデルの出力は、トークンごとの登場確率値です。学習済みのモデルを実行すると、対話中のテキストで、次に登場するトークンの確立値を求めます。もっとも確率の高いトークンを選び出し、その後も同じ処理を続けるjことで、対話が成り立っているとのこと。自然な言葉で対話できている点が、最大の驚きです。

このようにChatGPTは、統合AIでありながら、専用AIのような構築方法を使ってます。細かな間違いが発生するのは、これが根本原因でしょう。当然ですが、論理的に考えているわけでもなく、論理を扱えるわけでもありません。加えて、言葉の意味を理解しているわけでもありません。同じ構築方法を続ける限り、細かな間違いは無くならないでしょうし、論理を扱えるようにもならないはずです。残念なことに、統合AIの構築方法は、まだ目処すら立ってない段階です。

ここからが本題です。ChatGPTの欠点から、統合AIの必須機能を洗い出してみるのはどうでしょう。統合AIに何が必要なのか、改めて見えてくるのではないでしょうか。

ChatGPTの比較対象として、人類の中から賢い人を取り上げます。その賢い人が既に解明している分析内容を実現できないと、AIが人類を超えたと言えないからです。統合AIは、人類の賢い人と同等のことが可能になった時点で、人類の頭脳に達したことを意味します。その意味で、統合AIの必須項目を見直すことが、非常に大事でしょう。繰り返しますが、人類の賢い人に追いつくための機能で、人類を超える機能ではありません。

必須項目の具体的な内容は、次回以降で解説する予定です。先に言っておきますが、必須機能を洗い出すだけで、実現方法は提案できません。どれも、実現が非常に難しい機能ですから。

一部の人は、シンギュラリティが2045年に達成できると発言しています。でも私は、そんなに早く達成できないと思っています。その最大の理由は、論理的な思考をAIが実現できる方法が、まだ見付かってないからです。ChatGPTで用いられた方法を突き詰めても、論理的な思考には達しません。統合AIの必須機能を洗い出す中で、その理由も明らかになると思います。


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