子供の成長痛「オスグッド・シュラッター病」
幸手市にある「風ある林整骨院」です。これまで実際にあった症例と、施術/施術後の様子を書いています。
今回は、中学1年生(サッカー部/男の子)の”成長痛”のお話です。
来院時の状況:右ひざを曲げると痛みが出るため、右足を曲げずに引きずり歩きしながら来院。ひざ全体が赤く腫れていて熱感もある。
小学校低学年からサッカーをしていて、中学に入ってから症状が出はじめたらしい。当初はボールを蹴ったときだけの痛みだったが、その痛みは、徐々に走るときの痛みとなり、やがて歩行痛までになったという。
・問診/検査時の初見:ご本人が成長期であることやサッカーをしていること、ひざの状態から“オスグッド・シュラッター病(骨の成長痛)”と判断。
ひざの屈伸運動に関わる筋肉に負荷が生じている様子。
※“オスグッド・シュラッター病”とは、
小中学生の男子に多い、ひざの使い過ぎによる成長期スポーツ障害のこと。
成長期に急激な身長が伸び、一緒に骨も成長するものの、筋や腱などは同じように成長しないため引っ張られてしまい、炎症が起きて痛みが出る疾患。
分かりやすく言うと「成長に伴って筋肉が無理に引き伸ばされている」状態で、肩こりなどに近いと思います。
一般的には“骨の痛み”とされていますが、実際には”筋肉のアンバランスによる痛み”の要素が多いと感じます。
例えば、筋肉痛を起こしているときに、無理にストレッチなどをすれば痛いのと同じです。
今回の場合、過度なサッカーの練習などで、ひざを持ち上げる筋肉(大腿四頭筋)に強く収縮が起きている場合、その筋肉が無理に引き伸ばされることで痛みが出ている、ということになります。
・施術の方針:PNF法で”ひざを伸ばす筋肉群”と”ひざを曲げる筋肉群”のバランスを回復させる。
筋肉には、一方が収縮すると反対の一方が緩む特性があるので、生理学的特性を逆手にとり、筋肉のバランスをとって回復を目指す。
・施術:PNF法を使い、ひざの曲げ伸ばしを司る筋肉群を調整。さらに、腿の裏側や足腰全体のバランスを考慮し施術。痛みの出ている部分の筋肉を少しづつ正常化させる。
施術開始から20日後痛みが治まり、1か月後には完全復帰と判断し施術終了。
・施術後の様子:その後、走っても痛みが出ずにサッカーをしているとのこと。
今回の症例のポイントは、”単なる成長痛と侮るなかれ”です。
ご本人が熱心にスポーツに取り組むこと、またスポーツ教育に熱心な親御さんも多く、お子さんが痛みを訴えても“成長痛だから仕方ない”と受け流されてしまうこともあるようです。
そのまま放置してしまうと、今回のように徐々に炎症による痛みが広がってしまったり、ケガの要因にもなります。
身体の成長はとても良いことですが、“痛みが出る”ということは、身体からのお知らせなのです。
成長によってバランスが崩れてしまった筋肉を整えることで、痛みを緩和することはもちろん、ケガの予防、運動能力の向上を考えたコンディション作りにも役立ちます。
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