先天性股関節脱臼について
幸手市にある「風ある林整骨院」です。これまで実際にあった症例と、施術/施術後の様子などを書いています。
今回は、1歳6ヵ月の女の子(来院時)のお話です。
・来院時の状況:1歳2ヵ月のとき、先天性股関節脱臼と診断される。当時、ハイハイをする様子が、両手のみで身体をずり動かすような動きをしており、なかなか歩き出さないことに不安を覚え病院を受診。
入院し、けん引/脱臼整復し、ギプスで固定/装具を付けて退院。1か月後、装具を外したところ、再度亜脱臼を起こす。これに不安を感じたご両親は、心身障害児総合医療療育センターに通院先を変更。
運動療法を薦められる。
心身障害児総合医療療育センターに通い始めたころ、当院に来院。
初見にて、歩くことは出来るものの、跛行(はこう:通常の歩行が困難、身体を揺らして歩くなど)が強くみられる状態。心身障害児総合医療療育センターの医師から「臼蓋(大腿骨の上端を屋根上に覆う骨盤の骨)と大腿骨骨頭の発育不全が、5歳くらいまでに改善しない場合には、手術をしましょうか」とも言われているという。
・ご家族の要望:亜脱臼をしないこと、跛行が極力小さくなること。
・施術(初期):小さなお子さまのため、未熟な頭骨が傷つかないことを優先。※頭骨が傷つくと、大腿骨壊死が起こる可能性があるため。けん引と施術を組み合わせ、微弱なPNF療法を月2回のペースで行う。しかし、お子さまゆえに施術を嫌がるため、お昼寝時間を利用し施術。
・施術(中期):3歳くらいになったころ、関節軸と筋肉のバランスが整い、施術ベッドからポンと飛び降りてしまったり、大人たちをハラハラさせるほどに快復。経過も順調なことから、施術のペースを月1回に変更。跛行につても、ほとんど通常歩行と変わらないようになっていた。
・施術(後期~現在8歳):経過については、順調だったものの、ご両親と主治医の先生との相談により、臼蓋と大腿骨の発育不全に心配が残るとのことで、保育園最後の冬休みに大腿骨の骨切手術をすることに。手術後、変わらず月1回のペースで当院に通われている。体力測定の結果も平均値を上回るほどだと言う。
この症例のポイントは”先天性股関節脱臼の診断のタイミング”です。
先天性股関節脱臼の発見は、早ければ早いほど良く、生後3ヵ月頃から治療が必要となるものです。
ご両親は、毎月ある乳幼児の定期健診をしっかりと受けていたそうなので、理由は定かではありませんが、発見されるのが遅かったと思われるケースです。
小さいときから病院に通い、整骨院(当院)にも通い、さらに手術を受けた今でも、臼蓋の発育が完全とは言えず、経過観察と定期的な治療/施術を必要としています。
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