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ブラジャーが宙を舞った日。

人間、特に日本人って周りの為なら自分を犠牲に出来る人が多いですよね。

社会人なら会社の為に、スポーツ選手ならチームの為にある程度自分を犠牲にする風潮あるじゃないですか。

今日はそんな自己犠牲の精神が小学生ながら身に付いていたえりちゃんの話です。

必読!!!




僕が小学6年生の時、年に一度の大行事があった。

それが


"クラス対抗大縄跳び大会"



僕の小6のクラスが40人いて1組20人、2組20人の2クラスに分けられていた。

そんな普段は仲の良い1組と2組が年に一度大縄跳びで勝負するのだ。

クラスで縄を回す人2人を選抜してそれ以外の18人が一斉に大縄を跳び、何回跳べたかを競うシンプルなルール。

両クラスともかなり気合が入っていて絶対に負けたくないと朝、体育の時間、昼休み、放課後と猛練習をした。


僕が所属する2組には女子のリーダー格のえりちゃんという女の子がいた。

えりちゃんは発育早い系女子で男子より身体が大きく男勝りな性格。

えりちゃんはとにかく勝利に対する執念が凄くて、練習中ちょっとでもふざけようものなら

「男子!!!ふざけてないでちゃんと練習して!!!」

と怒号が飛んでくる。

僕達2組はえりちゃんに怒られないように一生懸命練習した。



そして迎えた本番の日。

全校生徒と全先生方が集まる体育館に1組と2組が入ってくる。

緊張が高まる。

まずは1組からだった。

何回かは覚えていないが結構な回数だった。

力を出し切り緊張から解放された1組のみんなが盛り上がっている。


そして次は僕ら2組の出番。

全員が一列に並び緊張がピークに達した。


「ピーッ!!!」


先生の笛の合図で僕らは跳び始めた。

良い感じだ。

良い具合の緊張感の中全員が縄に集中している。

「これはいけるぞ!」

と誰もが思った瞬間、えりちゃんの服の中から何かが落ちてきた。



ブラジャーだ。




えりちゃんは発育が早かった。

小学生ながら胸がそこそこあった為ブラジャーを着用していたのだ。

それがどういうわけだか外れて床に落ちてしまったのだ。

見てる全校生徒、跳び終わった1組の生徒、そしてまさに今跳んでいる僕達も言葉には出さないが思っただろう。



「ブラジャーだ!!!えりちゃんのブラジャーが落ちた!!!」




しかし、えりちゃんは凄かった。


跳ぶことをやめなかった。



「みんな、私は大丈夫。跳び続けて。」



言葉は発していないが、そんな強い眼差しで周りを鼓舞した。

まさに自己犠牲の精神。


しかしそんなえりちゃんの精神にさらに追い討ちをかける出来事が起こった。



ブラジャーが縄に引っ掛かり宙を舞った。



えりちゃんのブラジャーは綺麗な弧を描き縄が回る度に宙を舞い続けた。

しかしえりちゃんは以前跳ぶことをやめない。

周りがザワザワする中、跳び続けるえりちゃんと2組一同。



えりちゃんのブラジャーが僕達の団結力を最大限に引き出してくれたのだ。




結果僕達2組は圧勝した。

跳び終わった後えりちゃんはすぐにブラジャーを拾い、まるでブラジャーが落ちてなかったかのようにクラスのみんなと喜びを分かち合っていた。

もう尊敬でしかなかった。



練習ではチームをまとめ、チームの勝利の為なら自分の恥など犠牲に出来て、勝利した時に一番喜べる。

もう今はどこで何をしているか分からないけど絶対に素晴らしい女性になっているだろう。


〜fin〜

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