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Doors 第9章 〜 再会

 大学は何となくで通うことにした.もう一年受験生という重い肩書きを背負うのは嫌だったから.なので何事においても受け身的だった.勉強も何となくだったし,サークル活動も部活動もせず,バイトも友人に誘われたから始めただけだった.学部の友達とお酒を飲み哲学について語る日々が暫く続いた.その中で自然と音楽好きな仲間が集まり,みんなでギターに興じるようになっていく.そして再会は突然訪れた.

 大学2年生のゴールデンウィーク,友人の一人が息を荒げながら連絡してきた.その友人はとにかく不器用で,音楽に合わせて手拍子すらまともに打てないくらいセンスがなかった.彼の得意分野と言えば,使用価値のないと言えるようなマイナーなコードを覚えることだけだった.そんな彼がベースを買って休みの間に練習して1曲弾けるようになったから是非聞いてほしいと言うのだ.当然僕は期待など全くしていなかった.そうして彼のソロライブが始まった.
 完璧!とは言えないが,十分な出来栄えだった.何よりも彼のベースに対する熱意,音楽にかける情熱を感じた.コピーバンド程度ならできる,そう思いすぐさまメンバーを集めることにした.幸いにも学部のギター仲間でバンドを組むことができた.
 夏休み,リズム隊の猛特訓が始まった.3日に2日は僕の部屋で延々と演奏した.その甲斐あって瞬く間に演奏できる曲が増えた.そして,いよいよ初スタジオの日.扉の向こうではドラムが輝いていた.ドラムとの,音楽との再会である.

 その流れで軽音サークルに加入することになった.そのサークルはとても良いサークルで,異色な僕らをすんなりと受け入れてくれた.だから中途半端な時期に加入したにも関わらず,僕らはサークルに打ち解けることができた.何故1年生の時にサークル活動を始めなかったのか,後悔するほどに居心地が良かった.

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