私にとって価値のあるもの
結婚指輪を作った。
私は学生の頃から、友人たちの「〇〇の指輪が可愛い」とか「結婚指輪はあそこのブランドがいい」などという会話には全くついていけず、どれもこれも同じに見えていた。
ブランドの指輪を非難しているわけではない。
少なくとも私には、その価値を見出すことが出来ないというだけ。そして、その価値観は現在も継続している。
また、流行やブランドに対して似た価値観を持っていた彼との結婚指輪は、以前から「手作り」がいいんじゃないかと思っていた。
提案をしたら彼も快く受け入れてくれた。
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私たちは「ロストワックス製法」という方法で指輪を作ることにした。
指輪を作るというと聞くと、金槌でトンテンカンテンするイメージであったが、それは「鍛造製法」というもので、指輪の作り方にもいろんな方法があることを知った。
ロストワックス製法は、チューブワックスという蝋のような素材をお互いの指のサイズと形に糸のこぎりを使って削り出し、やすりで磨いたり、彫刻刀で好きなデザインを掘り起こしながら作る方法だった。
簡単そうに思ってたが、素材は柔らかく、脆く、時折折れてしまいそうになるので、意外と緊張する作業の連続。
お互いの指輪を作ることにしたので、自分ではなく彼が身につけるものと思うと殊更気合が入った。
作業中、隣を見ると私の指輪を懸命に削る彼の姿を見ることが出来たという点においても、結婚指輪を「手作りの指輪」にしたのは、とても良い選択だったと思う。
出来上がったワックスで作られた原型は、いま職人の元で型取りなどを行い、彫刻などの加工をして、完成したものが届くのは約1ヶ月後。
今から楽しみだ。
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今回の指輪に関して、彼曰く安かったらしい。
私も相場がどのくらいかはわからないけど、試しにブランドの結婚指輪を見てみたら、その金額に目玉が飛び出そうになった。
そして「高価なもの=価値のあるもの」という概念が壊れた。
だって、どんな職人が作っても、どんなに希少価値の高い宝石をふんだんにあしらっても、今回作った指輪の価値には敵わない。
きっと、高価なものは「一般的に」価値があったり、「万人にとって」貴重なものなんだ。
私にとっての貴重さというのは、お金じゃ図れない。価値の有無は金額じゃないなと実感した。
ケチと思われるかもしれないけど。
でも、万人にとって価値のあるものではなく、私にとって価値のあるものに囲まれて暮らしたいな、と改めて感じる1日となった。
今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。