場所と人と匂いの魔力
久々に書道をした。
去年までは隔週末には書いていたのだが、所属していた書道会を退会したので、今年に入ってからは正月の書き初め以来の書道だった。
墨の匂いをを嗅ぐと、背筋が伸びる。
これはもはや、パブロフの犬状態で、幼稚園の年長から7年間書道教室に通い、以降も趣味で続けてきたからこそ、勝手に刷り込まれている習性のようなものである。
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匂いもさることながら、自分の意思とは別に、場所や人などの環境にスイッチを切り替えられることがある。
例えば、会社。
まだ寝ていたいなし、全くやる気が起きないと思っても、嫌々でも行ってしまうとよく分からないスイッチが入り、何故かどうにかなるものである。
むしろ、なんだかんだ楽しかったり。
それは、責任感とか仕事へのやる気なんていう素晴らしいものではなく、単純に場所と人のせいだと思う。
家を出て外の空気を体に入れ、電車に乗って会社へ行き、自分のデスクについてコートや鞄を置く。
とりあえず給湯室へ行ってコーヒーでも入れ、すれ違う会社の人と挨拶や雑談をしつつデスクに戻りパソコンを開けば、もう眠いとか仕事したくないという気持ちはすっかり忘れ、今日は何からしようかとコーヒーを飲みながら1日のスケジュールを練っていたりする。
これは会社だけではない。
これでも33歳の社会人で、1人暮らしも14年目に突入し、必要最低限の家事も出来る。
しかし、実家に帰れば甘ったれた3人兄弟の末っ子へと変身する。
両親から熱烈な歓迎を受け、笑顔でハグを待つ父親と、キッチンで嬉しそうに私の好物を作る母親、実家の匂い、ずっと変わらない円形のダイニングテーブル、座り慣れたソファ、ピアノの椅子にもたれかかる白くまのぬいぐるみ。
ありとあらゆるものが、私を子供にさせるのだ。
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仕事の内容だけで考えれば、私の仕事はテレワークに向いているのだけど、もし今日がテレワークであったら確実に仕事にならない気がしている。
週末が充実しすぎていたせいか、そんなことを考える月曜の朝です。