見出し画像

万能薬「日にち薬」

「日にち薬(ひにちぐすり)」を聞いたことがあるだろうか。

小さい頃から両親や祖母に言われ続けたこの言葉は、どうやら方言らしい。

一昨日、退院後初めての出勤だったのだが、皆が心配して声をかけてくれる中、「もうあとは日にち薬なので」と言ったら、不思議そうな顔をされた。

毎日飲む薬のことかと思ったとのこと。

・・・

日にち薬というのは、時間の問題で治るということだ。時間や日を追うごとに良くなり、月日の経過が薬の代わりになることである。

私は2週間前に手術をし、1週間前に退院をした。退院した日は歩くどころか起き上がることもやっとだったので、予定通り出勤できるか甚だ心配だった。

しかし、そんな心配とは裏腹に、体はみるみる回復している。毎日毎日出来ることが増え、4日も経てば通常の生活が遅れるまでに回復した。

薬は飲んでいない。
痛み止め飲み処方されているが、痛みがあるときに飲むものなので、日々の薬は服用していない。

体力がまだ戻ってない感覚があるが、これもまさに時間の問題だろう。

・・・

日にち薬は、万能薬なのではないだろうか。
そして、体ではなく心の治療に適している薬だと思う。

生きていれば、嫌なことや悲しいこと・苦しいことから避けて通ることはできず、大なり小なりの心の痛みを抱えているのが人間だ。

そんな心の痛みを癒すのもまた、日にち薬なのではないか。

思春期に抱えた一世一代の大きな悩みだと思っていたものも、今振り返ればとてもちっぽけなものだったり。

なんなら、その「一世一代の大きな悩み」なんてものは毎年更新されていくものだったりする。

“Time cures all things.”という英語のことわざの通り、時は全てを癒してくれるのではないだろうか。

・・・

現時点で悩みを抱えている人に

「大丈夫大丈夫、時間が解決してくれるよ」
「今がどんなに辛くても、笑えるようになる」

なんて、J-POPの安い歌詞みたいな言葉をかけたところでなんの意味もなく、どんなに相手を思いやっていても、「私はこんなに辛いのに分かってもらえない」と逆撫でするのが関の山だろう。

しかし、人から与えられるのではなく、常備薬として持ち歩くには大変効果的なはずだ。

10〜20代の悩みの多くは、日にち薬が癒してくれる。嘘だと思うなら、試しに1年待ってみてほしい。

そうすれば失わずに済んだ命があっただろう、と思うのです。

いいなと思ったら応援しよう!

風埜いろは
今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。