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夏には早し、秋には遅し

なかなか捨てられない服がある。

じゃあ捨てなきゃいいじゃないかと思われるかもしれないが、引っ越しを控える私としては、ちょっとでも荷物を少なくしたいという気持ちでおり、その仕分け期間中なのである。

捨てられない服は、民族系のショップで買った5部袖のニットだ。

胸部分にキリム柄があしらわれているもので、そのデザインに一目惚れして買った。脇から袖部分もたっぷりとした作りになっていて、腕を広げるとちょっとモモンガみたいで可愛い。

キリム柄というのは、遊牧民たちが花や鳥・人間を表すために抽象化した幾何学模様のことである。

一時期はキリム柄やエスニック柄の刺繍が入ったものや、チロリアン模様がポイントに入っている、いわゆる民族系の洋服にハマっていた。

今でも好きな系統のひとつで、よく着ている。

だからデザインが気に入らないわけではない。むしろ今でも見ればときめく大好きなデザインである。

また、体型も大きく変化していないので、物理的に着られないというわけでもない。

ただ、その五部袖のニットだけはどうしても袖を通すことができず2.3年は経っている。

その理由は、着るタイミングがわからないからだ。

・・・

ニットということもあるし、色合い的にも秋冬ものである。

しかし、五部袖というところがネックだ。
寒いから着るのに、袖が足りない。

中に長袖Tシャツやシャツを着ればいいかとも思ったが、ちょっぴりゴワゴワするし、民族系ということもありなんとなくシャツも似合わない。

袖がたっぷりしているので、上から何かを羽織ることも難しい。

おそらく切るタイミングは、一年のうちに1ヶ月もない秋口なんだろうが、秋の入り口というのはいつの間にか通過していることが多いので、毎年そのタイミングを逃している。

まさに、帯に短し襷に長し。
中途半端で、わたしにはうまく着こなすことができない代物だ。

・・・

そんなことを考えて、少しだけ気になったのは帯と襷ってどれくらいの長さなんだろうか、ということだ。

調べてみると、「帯の長さは種類によって異なりますが短いもので3.6m、長いものだと4.3mほどです。このことわざに登場している「襷(たすき)」とは、(中略)長さは2.1~2.4m程度ありますが、これ以上長いと余った襷が長く垂れて邪魔になります。帯と襷の長さの差は1.2m以上あり、ひとつのもので兼用することはできません。」と出てきた。

つまり、中途半端で役に立たないと言われた長さの布は3m前後のものということになる。

3mの布。本当に使い道がないかしら。

中途半端で使い道がない…と、ネガティブな意味で使われる「帯に短し襷に長し」だけど、よくよく考えてみたら3mも布があったらいろんなことに使えるだろう。

子供用の帯にするでもいいし、ちょうど良い長さに切って襷にするでもいい。切って余ったのならばまた次の用途を…と、試行錯誤することを放棄しておいて、「使い道がない」と投げ捨てるのは好きじゃない。

まぁそもそも、帯と襷って布の幅がえらい違うのでは、とも思ったが。

とにかく、いつかあのニットを着よう。
試行錯誤して、どうにか切ることができる方法を考えてみよう。

次のお家へも持っていきます。

今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。