2024年4月の活動報告
オープニングトーク
お初にお目にかかりますワタクシ、小倉健一智というものです。今年度(2024年度)から大槌町の地域おこし協力隊として、この大槌町にやってまいりました!
大槌町にある、山、川、海、その他ありとあらゆる自然に溶け込み、自然の大切さ、尊さ、強かさ、脆さ、美しさ、楽しさ、美味しさ、危なっかしさなどなど、あふれんばかりの魅力を広く広く、一人でも多くの人に伝えていこうと思ってます!ですので、僕と関わる人はみんな、僕に狂わされちゃってください^m^ よろしく!
と、まあ、こいつ誰やねんとお思いの方もいると思うので改めて自己紹介を。
はじめまして。小倉健一智と申します。出身は大阪府で、流れる血は日本半分、残りは海外わちゃわちゃのいわゆるハーフです。年は25。好きな食べ物はチョコパイとクレープとウナギ。お酒は大好きです。バドミントン・バスケをやったり、絵をかいたりピアノを弾いたり、お菓子を作ったり、ポケモンが好きだったり、多趣味な方なのかなぁ、と思います。
特に自然が大好きで大学進学を機にこの岩手へやって来ました。広大な自然、夥しい数の見たことのない生き物、おいしい自然の恵み、試される厳しい山々、こんなにも素晴らしいフィールドが広がる岩手が好きにならないわけもなく、というかベタ惚れしてしまい、岩手の人々との素敵な出会いがあってこの大槌町へ就職しました。ここでは、『おおつちのあそび』というネイチャーツアーや環境調査を生業としているところで働きます。
まだまだ悪ガキに毛が生えたような若輩者ではございますが、これから優しく見守っていただけたらなと思います!よろしくお願いします。
1.新規ツアー開拓
我々おおつちのあそびは、大槌町の豊かな自然を利用して旅行者に向けていくつかツアーを実施しています。今年度から僕が本腰入れて仕事に従事できることもあり、新規ツアーをたくさん作っていきたいと考えています。それで、今回考案したのが二つ、「バードウォッチング」と「ナイトハイク」のツアーです。
バードウォッチングのツアーは朝早くから開始します。というのも、野鳥は一部の種類を除き主に昼行性ですが、日中でも特に朝の時間帯が姿を確認しやすく、また鳴き声を聞きやすいからです。バードウォッチングの場所を探すべく、地形図や航空写真とにらめっこしながら、時間ができると実際にフィールドに行ってどんな環境なのかを見に行きました。大槌町には探鳥地としてまとまった公園や遊歩道などがなく、ツアー地としてシンボルになるようなところを探すのがとても難しい。当初はクマタカという猛禽類をシンボルとしようと考えていたが、クマタカが目撃できるエリアにいい感じな場所がなく頭を抱えていた。そこでいったんクマタカから離れ海の近くでいいところがないかなと考えていると、筋山公園とみちのく潮風トレイルに思い当たった。筋山公園では大槌町では珍しく野鳥の森というエリアがあり、期待を胸に歩を進めた。しかし、入ってみると整備されなくなって何年経った。。。?という感じの林道が続く。ほとんど崩壊している箇所が数カ所あり、入り口にあるマップのとおりに道はなく、なんなら野鳥の森に辿り着けない。野鳥の森、ある?ないよね?って感じ。全域を大体歩いてみて気づいたのは、異常な数のマダニと高低差の激しい林道、思っていたのと違う。この場所は、しっかり整備しないとツアーには向かない。鳥はいて、景色の綺麗な展望台はあるんだけどなあ。なので公園内を歩くのはあきらめて、歩きやすい道路と筋山のみちのく潮風トレイルを改めて歩くことにした。こちらはトレイルの傾斜が少し急なこと以外はなかなかによいルートであり、それぞれ見どころもあってよい感じだ。それに、筋山公園内部とその近くではトラツグミという綺麗な鳥が結構コンスタントに見ることが出来る。このトラツグミはかつて、夜になると聞こえてくるその鳴き声が妖怪の「ヌエ」に似ていることから、ヌエと信じられてきたそうな。トラツグミは国内では一年中見れる鳥であり、ツアーのシンボルとしても申し分ない。だから、バードウォッチングのツアーはこの筋山の周辺で行うことにした。
リハーサル当日は、トラツグミは見れなかったものの、10種類を超える野鳥の姿、鳴き声を確認できた。個人的うれしかったことは夏鳥のセンダイムシクイが来ていたこと。鳴き声は特徴的で、いることはすぐにわかるんだけど、藪の中を移動することが多く姿を見るのが難しい。気合で探して証拠写真も撮れた。何が鳥かわかんない写真だけど。それでもたまらなく嬉しかった。リハーサルが終わりいろんな反省点やよかったところを振り返った。どれもこれもありがたい言葉だった。もっともっと良いものにしていこう。
バードウォッチングの場所探しはとっても苦労したが、ナイトハイクの場所選びは考えることが多くて自然と落ち着く場所に落ち着いた。というのも、夜間に出歩くため、足場が悪くなく、クマと遭遇しずらく、人が周囲の獣などにいち早く気づけて、ライトを消しても歩け、なおかつ集合しやすいところ。これらの条件を満足するところは割と少ない。僕一人だと夜間でも林道だったり獣道だったりもずかずか歩けるけど、一般の人を相手にするんだからリスクヘッジはしっかりしないとだめだよね。なので、場所は城山公園に決まった。城山公園は理想的な場所で、道路が舗装されており、スタート地点には常夜灯があり、しばらく歩くと真っ暗になるが、ところどころで街を見下ろせその夜景も見れる。なおかつ海も見渡せ、星空も見渡せるし、細い沢、広葉樹林、針葉樹林、伐開地と異なった環境が交差する。おしゃっちからも近く集合・移動がしやすい。完璧だね。リハーサル当日は月明りが明るい日でライトなしでも十分に歩けた。往路はライトをつけて歩き、春にしか出ないイボタガという美しい蛾やカモシカ、サワガニを見ることが出来た。復路はライトを消してずっと歩いた。目が見えないためか、終始、なぞの浮遊感に襲われる。普段はどれだけ目に頼って歩いているのか、見えない状態だと聴覚や触覚など鋭くなって第六感が目覚めそうだったり、星空が大変綺麗だったり、街が創り出す夜景も、僕的には珍しく、きれいだなって感じた。先にバードウォッチングのリハーサルをやっていたこともあって、反省点をそれぞれ活かせれたと思うし、これは非日常を感じるとてもよいコンテンツになりそうだと確かな手ごたえを感じた。
そんなこんなで、新しく二つのツアーが誕生しました。
タイトルは
『ヌエが影を落とす森!バードウォッチング入門ツアー』
『知られざる夜の森ナイトハイク体験』 です!
2.山菜ツアー
4/14には大先輩である山菜ソムリエ、カケルさん主導で山菜ツアーがありました。1のツアーリハーサルがあった直後だったので尊敬する大先輩のツアー運びから多くを学ぼうと考え臨んだ。やったことは新山エリアでの山菜採集と解説、その後に中央公民館で採集した山菜の調理だ。参加者は大槌町在住のよく知っているお二方と、北上からおいでのお二方。なんと北上から来てくれた方は二人とも植物の研究者の方であり、さらにうち一人はフキノトウを研究しているという御仁。食べ物としての利用をあまりやったことがないので食用利用に触れたいってことでした。お任せください。なぜなら我らには山菜ソムリエの資格を持つカケル様がいらっしゃる。必ずやご期待に応えて見せましょう。
やっぱりカケルさんのツアー運びは素晴らしい。元気ではきはきとした言葉遣い、さわやかな笑顔、参加者一人一人に対する丁寧さ、山菜の圧倒的な知識量。学びがたくさん。
フィールドワーク、調理、試食が滞りなく終了し、参加者の方々も各々楽しそうにしてくれていた。今回は、カケルさんのサポートや周囲の安全確認、山菜探しのサポート、お片付けといった拙いお手伝いだけでカケルさんがほとんどすべてをこなしてくれたけど、カケルさんの立派な背中を見て成長しなければならない。自分担当のツアーはもちろん、他の仲間が担当のツアーでも受け身で行動するのではなく、能動的に動けるように視野を広く持ち、参加者など、それぞれのヒントに対する答えを一つでも多く持てるようにしていきます。
3.台湾インバウンド受け入れ
4/20~21の2日間で、台湾からのツアー客の受け入れがありました。これはかなり前から台湾のインフルエンサーの方とツナガル株式会社の方と大槌町とで共に構想していたもので、それが今回形になりました!1週間ほどの旅程の中で二日間、大槌町を堪能していただきます。我々おおつちのあそびの担当はMOMIJIでの解体体験・鹿皮クラフト、ナイトサファリ体験、釣って捌こうサーモンツアーの三本でした。実際に15人ほどの台湾の方に来ていただき、大槌のシカ、サーモン、自然環境をめいっぱい紹介できたかなと思います。まとまった数の海外の方の受け入れは今回が初めての経験で、言葉が通じないことによる不便さや、大人数受入れ独特の臨機応変な時間対応や変更、いろんなところで力不足を覚えつつそれでも一生懸命に対応しました。まだまだ未熟な部分は多かったものの、ツアーに参加してくれている人たちの満面の笑顔や、何を話しているかはわからないけど飛び交う質問だったり、お別れの時にすごく別れを惜しんでくれたり、また来るねって言ってくれたり、写真に一緒に写ったり、一人一人がすごく気前のいい人たちでとても元気をもらいました。受け入れ側が元気もらってどうすんねんって感じだけど、ツアーってガイドが楽しさやツアーの価値を精一杯伝えて、それにお客さんが共感することで、ガイドもお客さんも両方楽しめるのが結構理想の形じゃない?いろんな形はあるだろうけど、僕はそういった形を目指したい。とっても新鮮で刺激的な経験になった。またのご来場をお待ちしてます!(^^)!
4.放浪
地域おこし協力隊は、というか大体の職業は年度が始まる4/1から仕事が始まるのが基本です。僕も4/1に地域おこし協力隊に着任したと便宜上はなっているはずです。なのですが、実は、3/30~4/8で休みをいただき、車で日本を縦断していました。ものすごくいい職場です。
学生時代、やることなすことすべてが輝いて見えて、がむしゃらに知識を欲し雨の日も風の日も炎天下の日もフィールドに赴いていたものです。それがまるで苦ではなかった。むしろなくてはならない存在だった。しかし、ある程度知識がつき歳を取ると、フィールドに出たい、もっと知識が欲しいという欲は確かに胸の内にあるのに、そこへ向かう足がだんだん重くなって極端に行動量が減ってしまう。多分、少しは成長して気にかけるものが多くなったり、単に時間が無くなったりという理由なんだとは思うんだけど、それがものすごく悲しく感じてしまう。成長するにつれてなくしてしまったパッションを、学生時代のかけらを探す意味も込めて長期の休みをいただき日本を旅してきました。
経路は、太平洋側を南下し、淡路島を縦断し四国にわたり、四国を縦断し大分へフェリーで渡り、鹿児島を目指し、次に佐賀を目指し、中国地方へ渡り、出身の大阪に寄り道した後、栃木・福島の河川敷を回り日本海側に出て、山形・秋田を通って岩手に帰えるというもの。道中、目的があって寄ったのは神奈川・愛知・鹿児島・佐賀・大阪・栃木・福島の7か所。
まずは神奈川県。ここはどうしても寄りたい理由があった。というのも、僕は学生時代赤トンボの研究をしていた。この神奈川には泉橋酒造というお酒屋さんがあり、そこのお酒のラベルは何とトンボなのだ。存在を知ってからずっとここのお酒が飲みたかったのだが、お酒好きの変なこだわりで、その場所に行って直接買いたい欲がある。そのため通販などで買うのをずっとためらっていた。やっと念願叶ってここのお酒を買いに来た。交通量が非常に多い道を細い脇道へと直角に曲がった先にあるのがこの泉橋酒造。ついさっきまでの喧騒とは打って変わり謎に落ち着いた雰囲気が漂う。酒造の裏は田んぼになっており、そこで酒米を育てているそうな。今の時期が春ということもあり、春の限定酒が置いてあった。この限定酒と生酛のお酒を購入し、神奈川を後にした。
次は愛知。知多半島に就職した友人がいたため、そいつを拝みに行った。実は、愛知県はサンショウウオが8種類ほど生息している。せっかく一泊するんだから見れたらいいなと思い、友人ととりあえずひつまぶしを食べた。これが絶品で、なんでひつまぶしってお茶漬けにするとこんなにもおいしいんだろうか。もうウナギ食べれたし寝よう。とも思ったが、サンショウウオ探しに夜な夜な出発した。狙いはミカワサンショウウオとオワリサンショウウオ。どちらも簡単というわけではないが生息する環境が独特なため場所の目星がつけやすいかなと考えた。しかし全然見つからない。遊水地っぽいところや源流部の湿地っぽいところを地形図から探し赴くも、思ってたような環境じゃないところが多く、結局1匹も観察することが出来なかった。想定が甘すぎる。そして疲れ果ててコンビニで2hほど仮眠。友人はその間暇だからと言ってコンビニの周りで虫を探していた。謎にナミアゲハを捕まえて来ていて面白いやつだな、と思ったものだ。
次は鹿児島。こちらも友人に会いに来た。以前屋久島で出会った友人で、年に数回やり取りをする程度なんだけど、人の話を聞くのがすっごく上手なやつで新年度に向けて話を聞いてほしかった。居酒屋でお互いの近況を話し合いながら、九州の恵みをほおばる。九州と言えばやっぱり焼酎!お店限定のクラフト焼酎がうまいのなんの。。。一通り話をして、友達にこう言われた。「僕が見てきたけんちゃんと今のけんちゃんは何も変わってないよ。むしろ会うたびに驚かされる。歩くターニングポイントだね。」―めっっちゃ嬉しかった。過大評価だよと思いつつ、めっちゃうれしかった。その友達と話ができただけで今回の旅の意味は充分にあると思えた。不安が払拭される気がして、眠りについた。
次の日は真っ先に佐賀に向かった。佐賀には「東よか干潟」という鳥好きにはたまらない超有名スポットがある。ここには多くのシギ・チドリ類が集結する。特に多くの渡り鳥が羽を休める春や秋の時期にはその数が半端ない。ずっとずっと行きたかった場所の一つだ。でも悲しいかな。。当日は小雨。天気が良くなかった。この干潟の横にあるビジターセンターの方に聞いてみると、この時期に天気が荒れるのはほとんどなく珍しいとのこと。単に運が悪いだけやん。へこむよ!でも来たからには干潟の生き物をちゃんと拝んで帰りたい。小雨が降る中干潟に踏み出すと、案の定たくさんのシギチが干潟に集まっていた。しかしちょっと時期が早いらしく、最盛期には遠く及ばない。それでもズグロカモメの夏羽の個体がいたり、ハマシギ、キアシシギ、ムナグロ、ダイゼン、メダイチドリ、ホウロクシギ、シロチドリ、クロツラヘラサギなどなど、数えきれないほどの種類の鳥でにぎわっていた。雨だったけどめっちゃ楽しかった。でも絶対晴れた日にリベンジに行くと心に誓った。
佐賀を後にし中国地方を横断する。途中で力尽きたりはしたが無事大阪へ。大阪へはバドミントンをやりに来た。小さい頃からお世話になっている団体がありちょうど練習実施日だったので顔を出してきた。いくらか昔より腕を上げた自負はあったのでちょっとは通用するだろうとたかをくくっていたが、完膚なきまでに潰された。明らかにそこの団体の地力があがっている。。。ただただ悔しく、ただただ悔しい大阪だった。すごい昔なじみの顔に会えてめっちゃ楽しかったんだけどね笑
帰りは栃木と福島の河川敷に寄る。なぜかって?昆虫採集のためだ。目的はマイマイカブリ。栃木県は2つの亜種の移行帯があり、その移行帯の個体を求めて。福島県は東北地方で採集したことのない亜種を求めて。マイマイカブリなどの甲虫の一部は越冬をする際に木の中や土の中にもぐる。その習性を逆手に取り、冬眠の時期になると生息地の倒木や土塊を掘り返して昆虫を探す。これが結構効率がいいのだ。いろんな参考文献を読み航空写真から場所を絞る。栃木県では大当たりで1時間弱で63匹という成果が出た。一方福島県では探し当てるのが難しく、見つけれたのは2匹だけ。ただ、栃木県で大勝利している上、採集経験のない亜種を採集することが出来たので大満足。ただ、この量を一人ですべて標本にするのには骨が折れるため、一部虫好きの後輩やサークルにプレゼントした。
こんな感じで旅が終わる。今回の旅の教訓は、余裕を持て、に尽きるかな。ところどころで時間のなさに困らされる旅路だった。まあそういうたびも面白いんだけど。やっぱりじっくり楽しみたいよね。各地に落としてきた学生時代の断片は、回収できたのかよくわからないんだけどこの1週間のおかげでものすごくリフレッシュできた自分がいる。少しくらい若さは取り戻せたかな!
エンディング 最高の仲間
僕が大槌に来たのは、おおつちのあそびを立ち上げた初期メンバーとの出会いがあったからだ。目指す景色が似ていて、専門は違えどお互いが自然を、フィールドワークを心から愛している。だからこそ、一緒に野遊びに出かけるのはとっても面白い。空いている時間を合わせて、よく一緒に自然を味わいに行く。
今年はあったかく、4月中にほとんどの山菜がとれるようになった。タラの芽やばっけ、しどけ、ウド、ハリギリなど山はたくさんの恩恵をもたらしてくれる。さっと仲間で収穫に行って、仕事終わりは山菜料理奉行。とても充実した時間の使い方だ。
釣りにも行く。一人で行くとなかなか釣れなくてへこむのに、二人以上で行くとなんでこんなに楽しいんだろうね。4月は岩洞湖にレイクジギングに挑戦。フロンティアな分野だからめっちゃ釣れる!ってことはなかった。むしろ1尾も釣れなかった。それでも可能性をひしひしと感じる。こんな日常が今後も続くんだと思うと、いつまでも大人になれない気がします笑
常に切磋琢磨しあえて、何度も何度も少年へ戻される環境が、このおおつちのあそびだ。最高の仲間と最高の職場に出会えたと痛感できる、そんな春の幕開けです。
と、めっちゃ長くなりましたがまだ4月終わったばかり。3年間続くんかこれ、、、先が思いやられる。5月も楽しみましょう。
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