映画『ミッドナイトスワン』感想
いや、もう、素晴らしいしかないです。。
人間らしい、弱くて強くて、脆くて、苦しくなる映画です。
主人公のナギサ(草彅剛)と娘メインの感動話なのかな。。と思っていたんですが、全然違う。。
【以下、感想】(ネタバレしすぎないくらいフワッと)
人前では強く、友達の事も思いやれてる強く見えるトランスジェンダーのナギサ。
自分が何故トランスジェンダーなのか問い続け、苦しみ続け孤独と戦ってきたナギサのもとに親戚の子供イチカがやってきた。
イチカは母親から育児放棄をされていて、初めは話すことも笑うこともしなかったが、バレエに出会い、友達が出来、ナギサと生活する中で性格も変わってくる。。
ここまでで、めでたしめでたしってなるのかと思ってたけど違うんですよ。うううう。。。
ナギサはイチカに母親のような愛情を持ち、イチカの夢を応援するために自分を犠牲にしてお金を作ろうとする。そんなナギサを見てイチカも愛情を感じる。
ここのナギサとイチカの演技とか、もう凄いんですよ。。。
違う場面ですが、ナギサがイチカのお母さんと間違えられる場面があって、そこでナギサが凄く嬉しそうに笑うんです。もう、私、大泣きしました。
男に産まれた自分がなれるはずもない『お母さん』になれた事が凄く嬉しかったんだなって思って。。
あと、この二人だけの話なのかと思っていましたが色んな人の気持ちが描写されていました。
・お金持ちで親の愛情を感じてない子
・男に騙されて落ちるジェンダー
・酒飲みのシングルマザー
・息子が女になってしまって混乱する母
など。。
ラストも本当に悲しくて苦しくて、胸がギュッとなりました。人間の弱さと強さ、脆さの表現が絶妙というか、なんというか。。。
愛情一つで落ちたり、愛情が貰えて笑顔になったり。
希望があるから頑張れたり、希望が消えて生きる力が無くなったり。
この映画に出てくる女性全ての感情を自分も持っているからこそ、本当に苦しく悲しく嬉しく、そして怖くなりました。
人間って強い人なんか一人もいなくて、強そうに見せるのが上手いか上手くないかだけなんじゃないのか、だからとっても脆くて、少しのきっかけで壊れてしまうんじゃないのか。これは他人事ではなく誰しもが有ることなんじゃないのか、、、。
本当に色々考えさせられました。
水面下で苦しんでる時って「なんで私だけが。。」って思ってしまう。でも「なんで私だけが」って皆も同じ様に思う時があるんだって事に気付けば、一人じゃないんだって救われたりするんじゃないのかなとか思ったり。
心で思っているだけじゃ伝わらなくて、言葉で希望、未来を伝えていれば人に強さを与えられる事もあるんだって思ったり。
今悩んでいたり、苦しんでいる人、自分の大切な人が悩んでいたり、苦しんでいる人に是非見て貰いたい映画です。私はこの映画を見た後に、大切な人達に優しく接することができました。
と言うことで、本当に本当におすすめな映画です。
是非に。
おわり
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