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Kura Skymning - 夕暮れに身を寄せ合う

スウェーデンには"Kura Skymning"(キューラ・フェムニン)という古い言葉がある。

まだ電気のなかった昔の時代、一日が終わり外仕事を終えた人たちは、日が暮れて暗闇があたりを包むまでの束の間、暖炉やキャンドルのかすかな明かりに集まってその時々の出来事をふりかえる。「夕暮れに身を寄せ合う」という言葉の通り、時には古い物語を語り、時には手仕事に励みながら、一日を終えて暗闇が来るのを待つ。

レクサンドで知り合いの家に夕食に招かれたときに、暖炉の火とキャンドルの灯りに囲まれたテーブルで、そんなことを教えてくれた。2人の息子たちはその言葉を聞いたことがないと言う。

他にも泊めてもらったお宅では、「こっちの方が好きなんだ」とわざわざ電気のスイッチを切って、キャンドルの灯りだけで一緒に食事をした。落ち着いたほのかな灯りと周囲の暗闇に包まれて、一日が終わる余韻をかみ締めるようにゆったりと過ごした。暮らしの中の、ちょっとした時間や余白を大切にするスウェーデンの人たち。電気が通い便利になった現代でも、その暮らしぶりは当時と大きく変わっていないと思う。

昔の暮らしの、暖炉の前に身を寄せる人々の光景が目に浮かぶような、不思議な響きの古い言葉。世界にはまだまだ知らない言葉がたくさんあるんだろう。

レクサンドの知り合いの家に残っていた、その家の歴史を記した古い資料。この町ではKnäckebröd(クネッケブロッド)という硬いパンが有名で、国中のスーパーで売られているけど、その工場はこの家から始まったらしい。規模が大きくなり工場を移転させる際に、知り合いの一家が建物を買い取ったのだとか。手作りとDIYの精神が息づくスウェーデンでは、古いものを直しながら大切に受け継いでいく。


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