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データ経営をスローガンで終わらせない──風音屋の7つのメソッド

風音屋(かざねや)広報です

最近、事業拡大に伴って採用活動を進めるなかで「会社の目指す方向性について聞きたい」という質問をたくさんもらうようになりました。そんな疑問に答えるために、改めて「100社のデータ経営を実現する」というミッションや、そのために用いる「方法論」(メソッド)について書いてみたいと思います。

新入社員向けのオリエンテーションで話している内容をもとにしているので、風音屋に興味のある方にぜひとも読んでいただきたいです。また、自社でデータ経営を実現したい人にとっても、なにかしらヒントを持ち帰っていただけると幸いです。


データ経営の実現

さて、企業現場で掲げられるコンセプトをいろいろ見てみると、「世界を変えるような製品を作る」、「抜本的なイノベーションを生み出す」といった大上段のスローガンのような言葉が目立ちます。

もちろん革新的なアイデアも大切ですが、それと同じくらい「データを見てわかることをもとに、確実に改善する」ことも重要です。製品に課題があるのに集客に力を入れようとする。セールスに課題があるのにサポート窓口を改善しようとする。きちんとデータを見れば分かるはずですが、それができずにビジネスが失敗してしまう。日本中で毎日のように起きていることだと思います。

もっと言えば、データ分析は企業のあらゆる部門で必須であると言っても過言ではないでしょう。経営やマーケティング、プロダクト開発だけではなく、人事、営業、カスタマーサポート、広報など、すべての部門でデータに基づく意思決定が求められています。データを見ながら担当業務を日々改善していくことで、日本の企業はもっとよくなるはずです。

……と書いてはみたものの、風音屋に興味を持ち方にとっては、これって取り立てて新しい話ではないかもしれません。「データ経営ができれば、日本の企業はもっとよくなる」。そんな言葉はビジネス書にも経済誌にも、データ分析について書かれた本の冒頭にも、ありふれているからです。

しかし、データ経営の「現実」はどうでしょうか。残念なことに「データ経営」はスローガンに終わってしまっているように思います。誰もやらないならば、私たちが「データ経営」を本気で追求してみよう。一言で言ってしまえば、それが風音屋のミッションです。

3つの課題:人材・評価・知見

そうはいっても、気合いだけでやれるならば、どこもやっているはずです。どうしてデータ経営をやりきることは難しいのでしょうか。風音屋では次のような課題があると考えています。

  • ① 人材:データ分析のスキルを持つ人員がそもそも限られており、各社に散在している

  • ② 評価:その人員のスキル評価や育成が難しい(マネジメントできる人材はさらに少ない)

  • ③ 知見:データ周りのトピックはセンシティブで、社外に共有・公開できないことも多く、事例・ノウハウが各社に分散してしまう

「データ経営」というキーワードに興味をもっている方であれば、どれかしらは「あるある」と感じるのではないでしょうか。

風音屋を創業する前、代表(@yuzutas0)はIT分野のコミュニティで、様々な会社からデータ活用について相談を受けていました。優秀なデータ分析者が各社に所属しているはずなのに、データ分析を支援する会社も大勢あるはずなのに「パズルのピースが上手くはまっていない」とのことでした。

ちょっと強い言葉を使うと、これら3つの課題を乗り越えなければ、私たちに存在価値はないと考えています。システム開発やデータ分析のプロジェクトを淡々と請け負うだけなら、素晴らしい受託会社やコンサルティング会社は無数にあります。しかし「データ経営を実現できているか」「データ経営を日本に根付かせているか」と言われると、まだ挑戦の余地が残っているように思います。

データ経営を支援するための7つのメソッド

3つの課題を克服し、データ経営を実現する。そのために、風音屋では「データ経営を支援するための7つのメソッド」をまとめています。これは私たちの方法論でもあり、目標とする仕事の進め方でもあります。ちょっと長いですが、重要なので紹介します。

① 3ヶ年計画のテンプレート

クライアントが「データ経営の3ヶ年計画」を立てるためのテンプレートを用意しています。ゆくゆくは、ヒアリングしながら項目を埋めていくだけで、社内稟議のための起案資料を渡せるようになりたいと考えています。

② 事業改善のためのグロース設計

企業調査やヒアリングを踏まえて、クライアントのビジネス構造を整理します。事業成長を支援するにあたって、どのような指標をモニタリングし、どのように指標を伸ばしていくのかを議論できるようにします。

③ユースケースのリストづくり

グロースを実現するために、クライアントと一緒に要求をリスト化します。「こういうデータを見てみたい」「そのデータをこんなふうに使いたい」というユースケースをリストとして洗い出し、優先順位を判断します。

④ todo整理とロードマップ化

ユースケースを実現するために、「どのデータをどこから持ってくるか」というデータソースをまとめます。さらに、そのデータをより使いやすくするためのデータ加工やツール活用をタスクとして洗い出します。それらをもとにtodoを整理し、ロードマップに落とし込みます。

⑤ ロードマップに基づいた仕組みの開発(Dev活動)

ロードマップをもとに、データを見るための仕組みを実際に作っていきます。BIのプロトタイピング → 技術選定やアーキテクチャ検討 → データの流れや仕様の設計 → システム開発といった流れをとることが多いです。

⑥ データ分析組織の運用(Ops活動)

データを見るための仕組みを実装できたら、定期的にKPIをモニタリングし、事業成長に向けてPDCAサイクルを回せるように支援します。また、現場の人たちが柔軟にデータを活用できるように勉強会やQ&A対応を行います。システムの安定運用にもコミットし、定期的にSLA/OLAをレポートします。

⑦ メソッドの改善(レトロスペクティブ)

一連の活動を定期的に振り返り、このメソッド自体をアップデートします。具体的には、計画テンプレートの改善、サンプルコードやスクリプトの作成、勉強会コンテンツの充実化、業務プロセスの見直しなどです。これらによってクライアントのデータ経営を支援できるように、さらに体制を強化します。


私たちの基本的な活動は、これらのメソッドから構成されています。すでにデータ経営の実現に取り組んでいる人は、自社でこのような流れができているか、見直してみてもいいかもしれません。

……とは言ったものの、率直に言って、まだ十分に仕組み化できているとは言えず、担当者1人1人の職人芸に頼ってしまうことのほうが多いです。

少しずつ社内Wikiを充実させて、いずれは「データマネジメントWiki」「データ分析Wiki」「データエンジニアリングWiki」といった形で公開していきたいところです。

最終的には「初回の打ち合わせで提案書が完成する」「1クリックでデータ基盤が立ち上がる」といった圧倒的なユーザー体験を実現するところまで目指したいです。

※広報注:ハードワークしているのは経営陣のみで、社員は原則的に残業禁止です。

データ経営のプロフェッショナル集団

このようなメソッドを掲げると、少しずつデータ経営を実現するための道筋が見えてきます。では、それを担うプロフェッショナル人材は、どのようなスキルをもっているべきでしょうか。風音屋で掲げている「プロフェッショナル・マニフェスト」の「3つのスキル」を紹介したいと思います。

  • 1)日々の生活リズムと心身の健康を整える(Human Skill)

  • 2)自身の専門分野における頻出手法を学ぶ(Technical Skill)

  • 3)依頼者の目的に沿ってプロジェクトを定義し、推進する(Project Skill)

風音屋では「採用基準」から「給与査定」まで、あらゆる人事面の意思決定が、このマニフェストにもとづいています。プロフェッショナル・マニフェストを意識しながら担当業務を進めることで、仕事の成果も、蓄積される学びの質もまったく異なるものになります。

特徴的なのは、データ分析やプログラミングの能力だけがあっても「Technical Skill」しか満たさないというところです。データ経営を実現するためには、もちろん技術も大切ですが、それだけでは不十分です。依頼者の目的に沿っていなかったり、目指すゴールと違うところに突っ走ってしまったりしても、よい成果にはつながらないからです。

もし技術だけを追求してしまうと「手を動かせる人だったら誰でもいい」「どの会社でもいい」といった仕事ばかりになってしまいます。これではデータ経営の実現にはつながりません。ほかの条件も満たすことで初めて「風音屋だからこそ相談したい」「データ経営を実現するためには、風音屋の進め方に乗るのがベストだ」とクライアントに信頼してもらえるのです。

もちろん、新しいメンバーが最初からすべてを満たしているわけではありません。プロフェッショナルの育成も私たちのミッションです。スキル向上のための20%ルール、KDECと呼ばれる社内研修、100冊を超える課題図書、定期的にフィードバックを受けるための目標管理シートなど「急成長するための仕組み」を整備しています。こうした社内の環境については、また別の記事でまとめてみたいと思います。

ともにデータ経営を実現する仲間に

ここまで「100社のデータ経営を実現する」というミッションと、そのために必要な方法論(メソッド)について書いてきました。もしこのミッションとメソッドに共感する仲間がいたら、ぜひともご連絡ください。私たちと一緒に、スローガンの先にある「本当のデータ経営」を追求しましょう!


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