リアルはゲームと共に 宿命は運命と共に
試し読み感覚で読んでみてください。良ければこれから出す話もお願いします。
『あらすじ』
友だちに誘われてとあるVRMMORPGの【Twilight・Fantasy】(略称、TF)というゲームを始めた魔奈。プレイして数日後。とあるボス級モンスターを倒したときある異変が起きた。ログアウトするとまさかの状態に。
楽あり?、苦あり?の非日常的生活がそのゲームにより始まるのだった。
「元の状態なんてどうでもいいの!」
一節 例のゲーム
はぁ、今日も対して面白くない学校生活を送らなければならないのか。なーにか面白いものでもあればいいんだけど。なんかねーかなー。無いよなぁー。
高校入学から1ヶ月。そうやって、毎日朝から思っている俺。
「あ、今日も朝からうるさいのが来たか。」
そう思っている時間を減らしてくれる俺の友達が教室の空いている扉から見えた。
いや、減らしてくれるよりは、ただの暇つぶしか?まぁ、心の準備はしておかないと、なんてな。
「よっす!魔奈!今日も張り切ってるっすか!?」
心の準備はできているはずだったのに、「ビクッ」って毎日喰らってるのに驚いてしまうじゃないか。どんだけ声がデカいんだ。どうにか小さくできないのか?
「あ、あぁ。別に、いつもと変わらないが。」
こいつは佐河真治(サガワシンジ)。俺の小学校からの友達。そして、友達第一号でもある。性格は……、見ての通りだ。好きなものはゲームと肉とスポーツだ。
強いて言いたいとすれば声を小さくしてほしいぐらいだな。
んで、俺の名前は風見魔奈(カザミマナ)。名前が女子っぽいって揶揄われたことがある。小6までの渾名は「マナちゃん」って呼ばれてた。思い出すだけで恥ずかしいよ。
性格は、だな。静かな人、なのだろうか?自分でもよくわからん。好きな物はゲーム。後はロングのツインテールと、料理だな。弁当も自分で作ってるし。栄養は偏ってないぞ?
紹介はここまでにしておいて。
「ん?真治。いつもより元気すぎるが何かあったか?もしかして、俺の興味を惹くようなゲームとかか?」
「凄いっすね。察しの通りっす。昨日から【Twilight・Fantasy】っていうゲームが発売されたっすよ!このゲームこそが魔奈が好きそうなゲームっす。軽く説明していいすっか?」
どうせ、ちょっとしたネタバレだろう。まぁ、そういうのちょっとは平気だから聞いておくか。
「別に構わないが、どんなものなんだ?」
「まず!アバターの細かい部分まで自分で設定することができるってことっす!」
「ふむ、それはなんとなく分かるぞ?」
「そうっすよね。他はっ!武器の種類が豊富って所っす!」
「それもやってなくても分かるぞ?」
「それじゃあ、噂での話をするっすけどいいっすか?」
なんだ?急に声のトーンが下がったが。期待してもいいんだろうか?
「プレイヤー登録の時に少し手順が抜ける人がいるらしいっす。」
「ふーん。それって製品の不具合とかじゃないのか?」
「違うらしいっす。何も、その現象が起きた人はゲーム内ステータスが異常なことになるらしいっす。」
「そ、それは、怖いな。」
「そうっすよね。えーっとっすね、確か、ステータスの割り振りが無くなるとか何とかっすよ。まぁ、自分はなって無いっすからよく分からないっすけどね!」
だろうな。噂で聞いた話だからな。でも、無きにしも非ずって言うことか。
「興味深いな。」
「そうっすよね!じゃあ、買ってみないっすか?一人一つ限定っすのでよっぽどのことがない限り大丈夫だとは思うっす。」
「そうだな、帰りに買ってみるとするよ。所で、プレイヤーネーム、教えてくれないか?」
「買ってくれるっすか!?って、プレイヤーネームっすか?えーっとっすね、【サラブレア】って名前っす。こういう名前でやってみたかったんすよね。」
「【サラブレア】か。分かった。ありがとな。んじゃっ、今日も張り切っていくとしますかね。」
チャイムが鳴りそうだったので真治は自分の席に戻った。
「起立、気を付け、礼。」
1時間目の数学が始まった。俺は、学習する能が低くも高くもない、平均位だ。いや、平均が60だとすると55ぐらいか。取り敢えず国語と数学だけは何て言うか、あれだな。大っ嫌いだ。
大っ嫌いだからとはいえ、無心でやっているわけではない。少しは努力している。まぁ、ゲームの事とか考えたりするんだけどな。それ以外は普通だ。普通だと思いたい。
「よーし、ここわかんない人いるか?いなけりゃ進めるが。」
「だいじょぶでーす。」
1人か2人こうやって返事をして後はうなずいて返事をしている。時々困った表情の人もいるが「まぁいいや。」とでも思っているんだろう。俺だってそうだしな。
っと、授業も終盤か。やっぱ時間の流れが遅く感じてしまう。たまに早く感じるんだけど、集中力の問題だな。
「今日の授業はここまでだ。しっかり覚えて復習するんだぞ。」
「はい」と一斉に声が聞こえた。まぁ、基本なんだがな。
そして数学担当の生徒が前に出て挨拶をした。
こうして1時間目がやっと終わった。
「疲れたー。1時間目から数学は怠いって。頭の使う量が半端じゃないよな。」
「そうっすね。自分も数学は苦手っす。それじゃっ、後、5時間目まで頑張るっすよ!」
「あぁ、そうだな。」
時は過ぎ、1時間の昼休みに入った。
「今日の魔奈くんの弁当はどんなものが入ってるの?」
おっと、毎日のように昼休みになると弁当を見に来る女子生徒、双木二葉(ソウキフタバ)とその御一行が来たようだ。
ちなみに、二葉とは女子友一号だ。
「二葉達か。って毎日そうだな。見りゃ分かるっしょ。だし巻き卵と生姜焼きとサラダだ。分かってると思うがあげるものは無いぞ?」
「分かってるってー。まぁ、美味しそうだなぁーとは思ってるけど?」
「そりゃどうも。」
「それじゃっ!」と言い、二葉達は自分たちの席に戻り弁当を食べていた。
魔奈と真治は基本20分で食べ終わる為、残りの40分はというと、10分ぐらいランニング。残りの30分は教室でゲームの話だ。
「30分も同じ話をしてて飽きないの?」と聞かれることもあるが基本趣味の話だから飽きることはまずない。とまでは言えないが基本は無い。
「それでっすね。朝の話の続きなんすけど、このゲームには『〇 Class』のモンスターってのがいるんすよ。」
「ふーん。それで、その『〇 Class』のモンスターが?」
「詳しくはやればわかるんすけど、外の世界に湧くモンスターが、『E Class』~『A Class』と『R Class』がいるんすよ。ちなみに道中に湧く『A class』は通常よりサイズが大きい大型モンスターとかの事っす。大型モンスターの場合、他と『〇 Class』の表記が違うんすよ。」
「そうなのか。」
「そうっす。例えば通常のスライムがいますよね?通常のスライムは『E Class』モンスターなのでクラスは普通にEっす。ただ、大型になる場合少しだけ変わるっす。どうなるか分かるっすよね?」
「えっ?急に聞くの?そういうこと。まぁいいや。大型が『A Class』。スライムが『E Class』。だから、大型スライムになると『AE Class』か?」
と紙に『AE Class』と書いて見せた。
「そうっす。あっ、でも、少し表記が違うっす。」
「違うのか。どう違う?」
「『AE Class』じゃなくて『A/E Class』っす。」
と言い、『AE Class』の隣に『A/E Class』と書いた。
「ふーん。どっちでもいい気がするが、それにも何か意味があるのか?」
「勿論っす。A/〇が大型モンスター。それとは別に『A Class』モンスターといるっす。確か、外の世界の結構離れた場所に出現するドラゴン系のモンスターが『A Class』っす。」
「そうなんだな。ってか、昨日発売の割には随分と詳しいんだな。」
「自分の友達とガチでやったんっすよ。レベルも意外と上がりやすいっす。あ、ドラゴン系はかなり強力だったっすから、攻撃されてHPが底を尽きるところだったっす。もっとやりこんでから『B Class』以上に挑むのがお勧めっすよ。」
「りょーかい。で、『R Class』はどんなのだ?」
「『R Class』っすか?簡単に言えばレア種っす。倒せばかなりの経験値が手に入るっすけど、すばしっこくて兎に角固いっす。どっかのメタスラみたいっすね。」
「意外と普通だった!?」
いや、これには少し驚いた。普通のハズなんだが内容がシンプル過ぎてね。
「あっ、ボス級モンスターっていうのもいるっす。正式には『S Class』モンスターっす。中にはそれをも上回るクラスがあるっすよ。まだ遭遇も何もしてないっすけど。」
「へぇ。ボス級もいて上回るクラスもいるのか。んで、ボス級ってどこにいるんだ?大体予想はつくけど。」
「勿論ダンジョンっすよ!」
「あぁ、やっぱりか」
お?もう時間か?ってか色々聞きすぎたな。少し楽しみが減ったような。
「時間も時間だ。色々ネタバレありがとさんっ。それじゃあ、今日から始めてみるよ。」
「それじゃ、お願いしますっすよ!」
「あぁ。」
それから、昼休みが終わり、掃除時間も終わり、5時間目、6時間目も終えた。
「各自荷物をバックに入れて帰る準備ができた人から帰って良し!それじゃあ、さようならっ!」
うちのクラスの担任がそう言い、周りには「ばいばーい」や「じゃーねー」「また明日どっかで合おうねー」という声が聞こえた。
明日は土曜日だ。俺の通っている高校、雪月高等学校(セツゲツコウ)は1年生の入部が7月中旬からとなっている。一部を除いて、だが。
□ ■ □ ■ □
町の紹介だ。ここは、雨流河(ウルカワ)町。水に関するものが多いからか、町名も水に関するものになっている。水がほかの町よりも断トツで綺麗なため湧水を取るためにボトルをもって山に登る人も多い。
水が冷たく森が多いため、夏の辺はかなり過ごしやすい。冬は…、何とも言えないな。
□ ■ □ ■ □
俺はダッシュで家に帰った。
言い忘れたが、俺は運動が嫌いだ。そう、嫌いなんだ。だが、何故か運動が得意な奴より足が速い。可笑しいだろ?100m走は、だって?約10秒だ。世界レベルじゃないかって?知らんな。この足の速さでリレーは毎回二回走りで100mと、200mのアンカーを任されていた。あれはきついって。
「っと、着いたか。急いで財布と貯金の3万を持ってかないとな。」
直ぐに家に上がり、カバンなどの必要のないものは全て置き、財布を持って全速力でゲーム専門店に向かった。
向かっている場所はゲームショップ「スライム」だ。ここは風見家が月3、4回は行っていた店だ。「スライム」という名前で店を始めたのにも理由があり、店長の杉原功武(スギハライサム)という名前から取っている。ちなみに、店長の妻が昔、「いさくんがスライムと呼ばれていたことを忘れられなかったの~。だから、店の名前もスライムにしたのよ~。」って言っていた。多分、店の命名は店長の妻がしたんだろう。
「ふっ、スライムに行くのも4ヶ月振りか。懐かしい感じがしてしまうな。店長、元気かな。もしかして、俺が来るの楽しみにしてたり。なーんてな。」
いやぁ、家から500mぐらいでよかった。走れば1分ぐらいで着くからね。
「ちょっと外装変わったんかな?前よりもお洒落になってる。」
この店には古いゲームから現代のゲームまで売っている。古いゲームがやりたいならここに来るのが手っ取り早いだろう。
来店する人の世代も関係ないからな。たまに、ゲームの話で盛り上がったりもするいい場所だからね。
「4ヶ月ぶりの来店か。店長の声はいい感じの低さだから俺は好きだったなぁ。それじゃっ、入りますかっと。」
入店したと同時に「チリンチリン」と、鈴の音がした。
ん?昔より内装ちょっと換わってるっぽいな。
「いらっしゃっせー。……って、マナちゃんじゃなねぇかぁ?4ヶ月振りだなぁ?なぁ?」
「お、お久しぶりです。店長…。あと、マナちゃんって言わないでください。」
「はっはっは。すまねぇなぁ。久しぶりだからよぉ。驚いてつい言っちまったよぉ。」
店長の声は、怒り口調だから慣れないと怯えたり怖がったりする人が多い。昔は慣れるまで絡みづらいって言われてたらしいしな。今はそう言うことは言われないらしいけどね。
「そんでよぉ、財布持って来たってこたぁ、なんか買いに来たんだろぉ?今の内に欲しいもん買っといた方がいいぜぇ?例のゲームをサービス付きで販売しちまうからよぉ?もしかして、例のゲームを買いに来たんかぁ?」
「そうですよー。例の【Twilight・Fantasy】ですよー。あるんですか?」
「おう。持ってきたろうか?買うんだろうしさぁ。」
「ありがとうございますー。値段はどうなんですか?」
「値段かぁ?少し引いてやるぜぇ?ちょっと待っとってくれぇ。取ってくるからよ。」
「OK、OKちょっと待ってるよー。」
少し待ち、店長が戻ってきた。
「あー、代金は――」
代金を言おうとした瞬間、ガチャリ「チリンチリン」ときれいな音が聞こえたので「いらっしゃっせー。」と言い代金はすぐに言えなかったようだ。
まぁ、スライム店長、入店した人がいたら「いらっしゃっせー。」は絶対だからな。