鬼と生贄1(仮)

ティル・ディ・テールさんの配信(https://www.youtube.com/watch?v=H_Zpz0vR9ks)で描かれていた鬼で思いついたプロット。

シナリオにするのは時間がかかるのでプロットだけ保存。
いつもの通り誤字脱字チェックはしていない

鬼 浅葱
巫女 さえ

基本的に巫女視点 時々鬼視点

村で神隠しが起こる。
ある日獣の食い散らかされたかのような女性の死体が見つかる。
山の神の仕業となり、生贄に選ばれる巫女(10歳ぐらいの子供)
途中まで大人たちに連れられて森の中に。
奥深くまで行くと大人たちは逃げていく。
巫女は村のためだと事前に言われていた通り、一人でさらに奥まで分け入っていく。
そして廃屋の中にたどり着く。
そこで姿を見せる鬼。
明らかに神様とは違う姿におびえる

しかし鬼はいやそうにまた邪魔くさいのが来たな。
ここまで来たら一人では帰れない。送っていくかといわれるけれど、子供でももう村に帰ることはできない。
ほかの村で生活していくすべもない。
神の怒りを鎮めるために、神隠しも、食い殺された人間も出ないようにというと、鬼は「あれはクマがやっている。神ではない」という。
困惑している巫女に、鬼が「まあその辺で好きに暮らせ」という。

巫女が鬼とは極力離れた、果物が生る木のそばに腰を掛ける。
木の実や果物を探しおなかを満たす。
夜になると恐怖が訪れる。
雨まで降ってきて、涙が止まらない。
泣きながら朝になるのを待つ。
朝になっても雨がやまない。
巫女服が体にべったりと張り付き、寒くてたまらない。

そこに鬼がやってきて、うちの廃屋に来るかと声をかける。
ここにやってくる大抵の巫女たちはそうしているから、そうするものだと思っていた。
なんでこんなにところに?
巫女はいったらいけないかと思ったと答える(本当は鬼が怖かったから

それから巫女と鬼の共同生活が始まる。
鬼は親切でもなく、冷たくもない。
単にこちらの機微に疎いだけだと巫女は思う。
次第に鬼が怖くなくなり、なつくようになっていった。
自分のような存在が大人になって、ほかの村に行くと知る巫女は自分もそうしたいという。
鬼は、一人で暮らすなら、生きていけるようにならないとだめだといった。
一人目の巫女が逃げ出したとき、外の村でもうまくいけて行けずに死んでしまったからと。
勉強に必要なものや身だしなみを整えるものは、廃屋にそろっていた。
食事も鬼が買ってくれる。
次第にさえは鬼が怖くなくなっていった。
(このあたりで読んでて、ほのぼのする交流エピソード二つか三つ)

それから5年後、冴えはこの生活にすっかり慣れ親しんでいた。
鬼との生活は面白く、ほかの村に行くことが少し嫌だった。
鬼と離れたくなくなっていた。
この生活が楽しかった。

鬼に用意してもらった食材を料理して、食事ができたとき。
鬼の姿が見えなくて捜した。
鬼は食事をとらないけれど、巫女が料理を食べるときはそばにいてくれる。
そばにいてほしい。(初恋みたいな感じで書ければ

その時に見てしまった。
鬼が人を食べているところを。
膝が崩れその場にへたり込む音で、鬼に気づかれる。
「見られてしまったか。先にお前を食べておけばよかった。あと一年は熟れさせようと思っていたのに。失敗した」
不機嫌そうな顔を始めてみた。
「人を食うのは、クマですよね?」
震える声で問う巫女に、鬼が答える。
鬼は自分だと答える。自分の食事が人肉であると。
しかし巫女は今まで一度も食べているところを見たことがない。
一つ溜息を吐いて、鬼が言う。
自分が神と間違われているのは知っている。
だから腹が減った合図に人をさらって人を食う。
待ちきれないときは食い散らかした死体をわざと残しておく。
巫女は自分が食べられないことを不思議に思う。
鬼が答える。

お前を食べなかったのは熟すのを待っていたからだ。
負の感情に満たされた人間は、硬くておいしくない。
幸福に満ちた人間は、柔らかく甘みがある。
だから親切にしていた(鬼の基準であり、決して親切はふるまっていない)
お前がほかの村に旅立つその時を待ち、一気に食うつもりだった。

巫女の目から涙があふれる。
恐怖と悲しみ。
5年も一緒に暮らしていたのに、食べ物だと思われていた。
それが悲しく、人を食らって平然としているところが怖かった。

震えて涙を流していたが、その涙が途切れる。
鬼が面白そうに笑う。
お前も鬼になったか。
そう言って笑う。
驚いた巫女は自分の頭を触る。
冷たい異物の感触。
角。
「人間が絶望に叩き落されると鬼になる。食事にはならないな」
鬼になった巫女の鼻に、かぐわしい香り。
それは鬼が食べていた人の体から。
口の中に唾が広がる。
そんな自分を必死で否定する。
けれども鬼が楽しそうに片腕を巫女の口元に近づける。
抗いきれずかみちぎる。
今まで食べたことがないほどおいしい。
そう思って泣きたくなった。
けれど涙は出ない。
鬼は泣かない。泣けない。
顔をゆがめて、それでも人の腕を食べら続ける巫女に鬼は楽しそうに言う。
「鬼と暮らすのは初めてだな。ここにいてもいいぞ。お前は人の気持ちがわかるから、もっと人間に親切にできるだろう。熟した獲物を分けてやるから、お前はずっとここに住め。そして人間にやさしくしてうまい肉を作れ」
いやなのに、怖いのに、もう人の世界には戻れない。
人がいるところで生活して、人を襲わない自信がない。
だってこんなにもおいしい肉。
幸福に満ちた人間の味が気になる。
巫女はそんな自分に嫌悪を覚えながら、それでも「はい」と返事をした。

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