暇なタヌキと笑う少年(仮)

このプロットはティル・ディ・テールお絵描きchannel / TILL familiaんのライブ配信アーカイブ、【イラスト配信】多数決キャラデザ#5 厚塗り【お絵描きVtuber】のキャラクター二人を見て思いついたプロットです。

早めにシナリオに仕上げたいところです。
タイトル何とかしようね、自分。

■タイトル
暇なタヌキと笑う少年(仮)

■キャラクター
タヌキ女子(四月朔 紫苑)
好き嫌いはっきりしているタヌキの妖怪。
暇を持て余して人間に化けて、遊びに行こうとしている。

少年(ティンバー・マシュー)
異国の国から親の都合で引っ越してきた、村になじめない少年。
いつもニコニコしており、カレーが大好き。
村の子供たちにそそのかされて、妖力のあふれた森へ行くことに。

■プロット
(基本的に紫苑視点)

とある田舎村の近くの森。
そこは妖力にあふれた不思議な森。
そこに住む一人のタヌキの妖怪、紫苑。
妖力が強くなり人間に化けられるようになった。
けれど耳と尻尾がどうしても隠せない。頭の葉っぱもとるとタヌキに戻ってしまう。
これじゃあ人間の村に遊びに行けないと思い悩む。

そこにマシューの悲鳴。
驚いて声のもとへ行くと、マシューが野犬に襲われている。
それを助ける紫苑。(たぶん持ってるセンス一振りで狼を蹴散らす)

紫苑、マシューを助けられてほっとするけれど、人間じゃないことばれたなあ、怖がられるなあと考え立ち去ろうとする。
それを引き留めるマシュー。

紫苑、ようやくマシューがこの国の人間じゃないことに気づく。
珍しいとじっと見てると、マシューが早口に「助けてくれてありがとう!! 死んじゃうかと思った!! ねえ、僕の家で一緒にご飯食べようよ!!」と矢継ぎ早に言ってくる。
ごはんには惹かれるが、悩む紫苑。
自分はどこをどう見ても、人間ではない。
人里に行ったらばれてしまう。

マシューに悲しげに「一緒にご飯いや?」といわれる。
絶望的な表情を浮かべる少年におも思わず、一緒に食べましょうと答える。
ぱっと顔を輝かせるマシュー。ぷるぷるとほおを揺らしながら「うん」とうなずく。

しかし紫苑は人里に行くわけにはいかない。
しかたないと「私、タヌキの妖怪なの。人間じゃないのよ」というと、「そうなんだ」とマシュー。
「人に見られると怖がられて、退治されちゃうかもしれない」
「僕が守ってあげる」とマシュー。
自分の着ている上着を紫苑に渡す。
「これ、この国に来るときおじいちゃんがくれたローブ。あったかいんだよ。これ長いから、頭にかけてたら耳も尻尾も見えないよ」
そういうマシューの木べらに注目する紫苑
木べらからはつんと鼻に来るようなにおいがする。
尋ねると「こっちはおばあちゃんからもらった木べら。僕カレー作るの得意なの。今日はヨーグルトカレーだよ」ウキウキしてるマシュー。
マシューが名前を教えてくれて、紫苑も名前を名乗る。

紫苑、勢いにつられてマシューに腕をひかれたままマシューの家に。
日本家屋が多い中、ポツンとある洋館。
大きいのに、誰もいない。
親はいないのかと聞くと、二人とも忙しいからと笑顔のマシュー。

二人でカレーを食べながら、紫苑はマシューに「紫苑……ちゃん」ととってつけたようにちゃん付けされるのが気になる。
呼び捨てでいいよというと、マシューがびっくりしたようにほんとに?と聞き返される。
マシューは、自国での習慣でこの村に来て同じ年頃の子を呼び捨てにしてなれなれしいと嫌われてしまったらしいことを話す。
内容的にいじめられていることも知る。

親は助けてくれないの?と尋ねると、二人とも忙しいからと答えるマシュー。
寂しくないのと尋ねると、寂しがると心配かけちゃうから。
ご飯を食べてると元気になるから大丈夫と笑う。

食事中、マシューは大人顔負けの食欲を見せる。
どこまでも幸せそうにカレーを頬張るマシューに、心配しすぎかと安心する紫苑。

食事を終えて帰ろうとする紫苑に、マシューが「友達になってよ」。
同じ年頃のこと仲良くなれなくて、親も家にいないから一人で退屈なんだとマシュー。
笑顔だけれど、緊張した声に少し同情し、いいよと答える紫苑。
ただし紫苑は村にあまり来れないから、森の入り口でマシューを待ち、森の中で紫苑と遊ぶことに。

それからマシューと紫苑は森で一緒にすることに。
最初のころ、マシューは自分の言葉遣いを気にしていた。
自国にいたころに一生懸命勉強した言葉遣いは、気取っていると嫌われてしまうと。
一人称を僕からおらに変え、語尾にだべを付ける。
なまりを教わっても、話すと笑われちゃうから難しいねえとマシュー。

笑いながら、どんどん食欲が増していくマシュー。
食べるのはいつもカレー。
彼の祖母がよく作ってくれたものらしい。
祖父母の話はよく聞く。
両親からは、自国にいたころから空気のように扱われていたらしい。
それでもマシューは両親を慕っているようで、にこにこといつも楽しそうに笑っている。

ある日、いつもの待ち合わせ時間にマシューが来ない。
村でお友達ができたのか、それとも何かあったのか。
タヌキ耳に尻尾、葉っぱを隠すことも忘れて、村まで行く。
案の定、村の子供たちにいじめられているマシュー。
突き飛ばされたり、話しかけた言葉を笑われながらも、マシューは困ったような顔をしていた。
泣いてはいない。困ったように笑うだけ。
それでも紫苑は腹が立ち、村の子供たちを怒鳴りつける。
子供たちは紫苑の姿に化け物が出た、と逃げていく。

マシューは紫苑のほうによって行き、迎えに来てくれてありがとうといつもの笑顔。
なんでみんな逃げちゃったんだろうね、紫苑は優しいのにと笑う。
「あんたもっと怒ったほうがいいわよ」
そういっても、マシューは笑って「おこると疲れちゃうから。それに笑ってたら友達ができるかもしれないよ」と答えてローブを渡す。
そして「おなかが減ったから、ごはんを食べよう」と紫苑を自分の家に連れていく。

二人でカレーを食べていると、マシューの両親が血相を変えて帰ってくる。
(紫苑を見て逃げた子供たちが、マシューが化け物を従えている。化け物に殺されそうになったとパニクッて言って回っている)
そして父親が紫苑に向かって言う。
「出ていけ化け物」
マシューが慌てて言う。
「紫苑は化け物じゃないよ。友達だよ」
そういうマシューを、父親がたたく。
「お前は私たちを困らせるな。ここでやっていくには、異端視されては困るんだ。こんなのを家に連れ込むんじゃない」
その言葉に母親もうなずきマシューを責める。
「マシュー、この化け物とは会ってはダメ。ここで暮らしていけなくなったら困るのよ。あなたももう、やっていいことと悪いことの分別はついてもいいころよ」
マシューはうつむいて、でもと何か言いたげにしている。
紫苑は、化け物に騙されているかもしれない子供を心配するのではなく怒る両親に腹が立つ。
(このあたりでマシューが全く愛されていないことが、はっきりわかるようなやり取りをしたい)

「目障りだから、ここからいなくなりなさい」
扇子を仰ぎ、家から両親を追い出す紫苑。
そしてマシューのもとに行きしゃがみ込み、その顔を覗き込む。
「大丈夫?」
そこで初めてマシューが声を上げて泣き出した。
「紫苑はこの国で初めてできた友達なのに、どうしてあんなこと言うの? お父さんもお母さんも嫌いだ。いっつも僕の話を聞いてくれない。話を聞いてくれるのはおじいちゃんとおばあちゃんだけだったのに。二人と会えないところまで連れてきて、全然かまってくれない。もう嫌だ。誰も僕にやさしくしてくれない。こんなの嫌だ。みんな嫌い」
地団太を踏んでかんしゃくを起こすマシュー。
(ここまでマシューは一度も泣かない。悲しそうな顔をたまにするけど、基本ずっと笑っている。他人に対するネガティブな感情は見せない。紫苑を化け物と呼ばれて、今まで積もり積もったものが爆発した感じにできれば)

紫苑はマシューの頭をなで、抱きしめる。
「それならマシュー、私と一緒に森で暮らす? 私はマシューの話をいつも聞いてる。この国の友達よ。おじいちゃんとおばあちゃんとは会えないけれど、私はずっといるわ」
マシューは「いいの?」とおずおずという。
疎まれてばかりいたマシューは、受け入れられることに慣れていない。
「マシューにほかに行きたいところができるまで、一緒にいましょう」
紫苑が言うと、マシューは泣きながらうなずいて紫苑と手をつなぐ。

それから日々が過ぎ、マシューがいつもの笑顔で紫苑に言う。
「ご飯できたよ」
ご飯はいつもマシューの大好きなカレーだ。
紫苑よりもマシューのほうが食べる量が多い。
マシューが大食らいだったのは、ストレスによる過食だと思っていたのだがそうではなかく、純粋に食べるのが好きらしい。
(今日は楽しいことがあったからたくさん食べよーとか言ってる)

そしてマシューの頭には、たくさんの胞子がつき、大きなキノコが頭に生えていた。
祖母からもらった木べらと、祖父からもらったローブを大事にしているマシューは、妖力にあふれた森の空気にあてられて人の姿を失った。

頭に生えてるキノコは、もいでもすぐに生えてくる。
そしてなかなかにおいしいものだから、最初は戸惑っていたマシューも、キノコ入りのカレーがお気に入りになっていた。
木べらとローブを大事にしているマシューは、きっと人の世に未練がある。
祖父母にはきっと会いたくてたまらない。

祖父母が迎えに来たら二人のもとに返してやろうと思っていた紫苑だが、この姿では人の世界では生きられないだろう。
異国の祖父母も結局この子を迎えには来なかった。
両親が迎えに来る気配は最初からない。
マシューはもともと人の世界になじむことができない子供だったのだろう。
それならば、きっと二人で暮らしているほうが幸せだ。

そう思うものの、しおりの頭にはかすかな不安がよぎる。
本当は人の世界に帰りたいのではないか?
マシューはつらいときに笑う子供だ。
ご飯をたくさん食べる子供だ。
だとしたら、この生活はつらいのかもしれない。

そんな紫苑の心を読んだかのようにマシューがカレーを食べながら笑う。
「僕、きっともうあの村にも戻れないし、おじいちゃんともおばあちゃんとも会えないね」
何も言えない紫苑に、ぷるぷるのほっぺを揺らしてマシューは笑う。
「でもいいんだ。紫苑と一緒にいるの楽しいから。僕、ここで暮らすの好きだよ」

マシューの言葉がどこまで本音なのかは、紫苑には判断がつかない。
自分の感情を隠して笑うのがうまい子供だ。
それでも限界がきて泣き出すまでは今のままでいいだろう。
紫苑は笑顔のマシューにうなずきながら、カレー皿を手に取る。
(紫苑はマシューがカレーしか作らないため、人間の世界の食べ物はカレーしかないと思っている)

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