おならうた

土曜日は谷川俊太郎氏の講義に行ってきた。
その2時間の間ずっと気になってたことがある。
隣に座ってた女性がマフラーをずっと口と鼻にあてている。

夏にあった糸井重里氏の講義のとき
「後部座席異臭騒動」に巻き込まれた私としてはすごく気になる。

「くさい?わたし、なんか臭い発してる?昨晩食べたにんにく?
それとも衣服と体に染みついたタバコの臭いに我慢できない?
ねえ、ねえ、あたし?
行きの電車の中で金魚が死んだような臭いがしてたのも、
もしかして私?えっ、もしかして私死んだ臭いしてる?」

恐怖の自問自答の中、ぐっと口を閉じ、
息も止めてみたりして。
しかしながら25メートルも泳げない私が息を止めたところで
長続きするわけもない。
ううぅ、溺れる~、死ぬぅ~。
ここで死んだらほんまに死臭漂うやんけ。と大きな息を吸った瞬間、
隣の彼女の手に力が入ったのを私は見逃さなかった。

「加害者、私やんかいさぁ。ごめんよ~、ごめんよ~」
心で謝りながら講義も後半。
最後に谷川氏が持ってこられた絵本の争奪戦。
気もそぞろで、じゃんけんに参加。あれっ、勝っちゃった。
2冊ある絵本からどちらを選ぶかの選択権は私にあり。
迷いなく『おならうた』を選ぶ。

私が被害者側だったら絶対言うね
「隣におったおばはんめっちゃ臭かってさぁ、
谷川さんの話に集中できひんかったわ。
それでその人が最後にじゃんけんで勝って選んだ本が
『おならうた』やで、めっちゃウケたわ、
あんたが臭いっちゅうねん」と。

この日の臭いを隣の彼女がネタにできる寛容な方であってほしい。
そんな気持ちを込めて『おならうた』を選びました。

November 27, 2006

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