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【出版体験裏話#05】 クイズの力
50個のエピソードを仕上げ
どのくらいの時間が経ったでしょうか。
次のミーティングの場で編集者から提案されたのは、
「クイズ形式にしてみませんか?」
ということでした。
いま思えば、おそらくですが
私の文章が小難しく、読みにくく、
内容がわかりにくかったから、
小手先ではない、根本から改善策として
クイズという視点を投げていただいたのでしょう。
しかし、てっきり私は出版に向け、
原稿の細部のこと、図やイラストのこと、
具体的なスケジュールについて話し合うと思っていましたから
正直、「ん?????」となったのです。
参考事例として、編集者から類書が紹介されます。
類書とは、同じ分野に属する同類であり、ライバルとなる本のこと。
その類書はとてもシンプルなつくりで
「問題」が1ページ、「答え」が1ページの構成でした。
でも、私が書きたかったのは「思考法」の本。
その「思考法」を通じ、「読者の世界の見方を変えたい」、
そんな想いを持っていました。
そもそもクイズのつもりで書いていないものが
クイズに進化できるのでしょうか・・・
内心、どう対処していくべきか、途方に暮れ、
編集者にはしばらく時間がほしいと伝えました。
原稿を持ち帰り、しばらく模索が続きます。
そして、クイズ化にあたり、成立要件を以下の3つに定めました。
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一つ目は「問いの力があるか」。
クイズとして考えさせるものでなければなりません。
できれば、「そんなこと考えたことなかったな」がベストです。
二つ目は「意外性があるか」。
解答には驚きや新鮮さが必要です。
「あっ」や「へぇー」や「ふーん」が欲しいところです。
三つ目は「納得感があるか」。
解答方法につながる思考法の紹介が本書の目的ですから
「なるほど」、「使えそうだ」と感じてもらうことが大切です。
この要件を当てはめていくと
クイズにならないエピソードも当然出てきます。
そこは素直にあきらめ、取捨選択を進めます。
結果的に50個の目次は39個へと減少し、
クイズにならないエピソードは「コラム」という形で
残していくことにしました。
なんとか8月半ばにはクイズ化の検証を終え、
この段階では、クイズ39個+コラム15個の原稿へと
生まれ変わることができたのです。
(次へ続く・・・)