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サマー・ウォーズ

台風10号で、3泊4日の『無人島100FES』がなくなった。
どうにかして開催できるようにと、スタッフ、参加を予定してくれていた皆の一人ひとりが尽力してくれた。2泊3日でならと、一筋の光が見えてきた。

しかしそろりそろりと台風は進み、ついに2泊3日も、いや1泊2日ですらおじゃんになってしまった。

無人島がなくなった。
ここまでかけてきたものもほとんどが意味をなくし、
皆と過ごせたはずの時間もなくなった。
お金もなくなった。

8月27日、28日に無人島が閉鎖になるという連絡を受けて、3人でミーティングをした。一度は2泊3日もやらないと結論付けたけれど、「やらないよりもやった方がいいと思った」という団長の言葉で、ひとまず2泊3日でどれだけの人が来てくれるのかを聞いてみようということになった。

結果、80人近くの参加者のみんな、そして依頼費を払うことはおろか宿泊費すら出せないかもしれない、という状況の中でも、ゲスト、スタッフ全員がそれでも行くよ、と言ってくれた。

これだけの人が、自分達がはじめた小さなことに
こんなにもそれぞれの想いを懸けてきてくれていたのか、ということが衝撃だった。

自分の方がむしろ、いつからかそれを蔑ろにしていたのではないだろうか、自分達がみんなと創り上げてきたものを、信じることができていなかったのではないだろうか。そんな気がした。

ここまで来ても無人島に行こうと、どうにか大逆転を起こそうと、そんなことを思ってくれるすてきな人たちとの3日間はきっと、

はじめてあの体験をして、これだ、こういうことがしたかったんだ、とはしゃいでいたあの時の自分たち以上のものを僕らに運んできてくれて、みんなにとって本当にたった一度きりの奇跡を起こせるんじゃないかと思ったのだ。悔しい、悔しい。

無理なものは無理である、これ以上は仕方がない。ここからどうにか逆転していくしかない。

しかし次に立ちふさがるのは、『THE ONE』というプロジェクトの資金繰りだ。アフリカやアジア6カ国の子ども達を日本に招待し、日本人のキャスト・クルーたちと9月27日にでっかいショーをやるのであるが、これがまた莫大なお金が必要である。そしてそのためのクラウドファンディングは、8月27日現在目標額600万円に対して、まだ集まった額は40数万円に留まっている。

ちなみに600万集まっても赤字らしい。そして半分集まらないと、久しぶりにLES WORLDとして頂くお給料も吹っ飛ぶらしい。いつも背水の陣だが、さらにヒリつく夏の陣である。

数千万をポンと動かせる人達や、予約が始まれば一瞬で数千枚のチケットが売り切れる人達を見ていると、これだけの人に助けてもらいながらも、ここまで力のなくできることのない自分が情けなくて仕方がない。だができていないのだから、これ以上役に立たなさを憂えても仕方がない。いつだって今からできることをやるしかない。

家に一人だった日、2階のスピーカーで、大音量で、なんとなく自分達の楽曲を聴いていた。

「かしこく生きる方法なんかより 魂を燃やし生きる方法が知りたい。自分の生きる理由は 自分の手で作り出す」

「それでも前へ それでも前へ 光の方へ」

最近は、自分がここにいる存在意義をよく考えていた。別にズバズバ経営もファシリテーションも出来るわけでもなければ、プロジェクトに不可欠な音楽やクリエイティブを作れるわけでもないので、所詮は代替可能な一部品でしかない。

明日起きたら革命が起きて、自分の手札が増えているわけでもなければ、自分がもっと能動的に世界を動かせる存在になれるわけでもない。

だけども、それでも無人島を形作ろうとしてくれている人がいたこと、一銭も自分の足しにならないのに、THE ONEのために動いてくれる人がいることは、今、

振り返って、自分がこの立場にいることを諦めることなく、せめて覚悟を持って、向き合い実践し続けることの、何より大きな理由だったのだと気づかせてもらえた。その先でならば、きっと自分がみたかった、みたことのない景色が本当にみれるのかもしれないと、そう思います。

一旦お金もないくらいが、僕にとってだけ考えればちょうどいいのかもしれない。それでもLES WORLDというものをやり続けて、自分にできることをここに懸ける、ということを、きっと十二分にし直せる時間になるのだと思います。そうだと信じたい。

無人島に来てくれるはずだったみなさま、ありがとう。そしてごめんなさい。また来年、もしくは国創りや海外ワークショップ、新たにリリースする廃校で、またきっと会えますように。

そしてこんなに本気でLES WORLDというものと共にあってくれてくれるゲスト、スタッフのみなさま、ありがとう。必ずもらった以上のものを渡していけるように、やり続けていきます。

といってもクラファンはもうたくさんの人の力をお借りするしかないけれど...。
やり遂げます。


8月27日。海を渡り島で過ごしていたはずの今日。窓の外に広がる空は、まだ晴れ模様でございます。

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