自動券売機にて
美玖は電車に乗るため自動券売機の前にいた。値段を確認する為、券売機上の表を見上げ、券売機のボタンを押そうとしたところで突然手首を掴まれた。
びっくりした美玖が手首を掴んだ人を見ると小柄なおばあさんがおもむろに美玖に小銭を握らせてきた。またもや美玖が面食らっていると
「切符買って」
と頼まれた。
「何処まで行かれるんですか?」
と行き先を確認し、表で値段を確認した。
券売機でおばあさんの分の切符を買い、発券された切符とお釣りをおばあさんに手渡した。その頃には美玖は落ち着きを取り戻していたので
「おばあちゃん、お金渡す前に切符買ってって目的言わないと危ないよ。」
と付け加えた。おばあさんは
「ありがとう。ありがとう。」
と美玖に言い、改札口へ向かった。
美玖はおばあさんを見送りつつ、あんなに無防備に人にお金を渡すぐらい人を信じられるって素敵だなぁと思った。