綺麗なお姉さん
百合は綺麗な女性が大好きだ。美しい人は見ているだけで楽しい。
少女漫画の定説は美女は意地悪だが、百合はそれは真実ではないと思う。
実際は美女ほど心に余裕があり、自身も努力をしているので、美女ほど人に優しくする余裕があるし、人を馬鹿にしない。内面は外見に表れる。は本当だと思う。
百合は普段行っているサロンのジュエリー販売会に招待された。
そこのサロンはスタッフがみんな美しくて優しいが、その中でも特別に1人百合のお気に入りの瑛里華がいた。
指輪やネックレスを試着しながら写真を撮る。素敵な空間に美しいジュエリーたち。百合は上機嫌だった。
この日、百合の爪はセルフネイルでマニキュアを塗った上にラメ入りのマニキュアを斜め半分に被せて塗るというデザインのものだった。
瑛里華が百合に話しかけにきて、ジュエリーの話や近況について暫く雑談をしていた。ふと瑛里華が百合の爪を見て
「百合ちゃんの爪、可愛いね!」
と言った。百合は
「ありがとうございます!自分でしたんです。」
と答える。
「すごいね!可愛い!どうやってやったのか教えてもらってもいい?」
と瑛里華に言われ、百合は嬉しくなり、塗り方の説明をした。瑛里華は静かに百合の工程を聞き終わった後で
「そうなんだ!教えてくれてありがとう。あのね、斜めに塗るときにセロテープをつけると塗りやすくなるかもしれないよ。」
と言ってくれた。その言葉に百合は、瑛里華は百合がもっと綺麗に塗れるように、百合に指摘したと感じさせないように教えてくれた事に気付き
「なるほど!やってみますね。ありがとうございます!」
と瑛里華に伝えた。
百合は瑛里華の伝え方の上手さと気配りにとても感動した。
あんなに綺麗で、人を綺麗にする手助けも率先してできてすごいと思った。
教えを乞う形で、どこをどうしたら綺麗になるのかポイントを見つけて、それをさり気なく伝える。百合はストレートな物言いで人と衝突する事があったので、ネイルの事だけではなく、コミュニケーションの事もこの時同時に瑛里華から学べた。
やっぱり美しい人は内面も美しいんだなぁと百合は瑛里華を眺めながらとても温かくて満たされた気持ちになった。