めくるめく世界
深夜、男友達と散歩をしていた。
飲み終わった後にぶらぶらとあてもなく、
ただ話しながら歩いていた。
屋台街近くの通りで、もう屋台もお店も閉店後で歩いている人も、通る車もバイクもほぼいなかった。灯りも少なく、ぼんやりと暗い通り。
ふと、昼間は屋台がひしめく通りが目に入り、既に誰もいない、その通りにはひっそりと片付けられた数々のスチールの屋台が点在していた。
他にも道はあったものの、昼間とは全く違う光景が興味深く、その通りを歩くことにした。
50メートル程歩いたところで、何かがおかしいと感じた。だけど、何か分からずに何も無い風を装いながら、そのまま友達と話をしながら歩き続けた。また50メートル程歩いたところで、やっぱり変だ!と強烈な違和感を覚え立ち止まって下を向き目を凝らした。
!!!
一瞬で何が起きているかを理解し、足元から頭にかけてゾワゾワゾワーっと全身の毛が逆立つ様な感じだった。悲鳴を上げそうになるも声にならず、コアラが木に抱き着いている形で男友達に抱き着いた。。。というより、男友達によじ登った。何が起きているかを理解していない友達は私の行動に混乱していた。
カオス。
「何が起こってるの?」と慌てて言われ、
私は地面を指差しながら「ネズミ!ネズミ!」とひたすら叫んだ。
「私は歩けないから、このまま元来た道を戻って、さっきの通りに出て!」
「僕だって、こんなとこ歩くの嫌だよ。」
「だけど私はサンダルで、あなたはスニーカーじゃない!私は噛まれるリスクがあるけど、あなたは安全だもの。それに私はあなたを運ぶなんてできない!」
事実、彼は私より身長が30cm以上大きくがっしりしていたのだ。
屋台がひしめく通りは他の通りに比べて小さいのだが、通り全ての地面をネズミに覆い尽くされていた。夥しい数のネズミ。一生分は見た気がする。なんで通りに入ろうとした時に気が付かなかったんだろう。だけど、そもそも道を歩く時に地面にあまり気を配らない上、暗かったから無理も無いかと思いつつ、無事にその通りから元いた通りに運び出してもらえた。
男友達は私を抱えたまま歩き続けようとするので「もういいよ!降ろして!」と言っても降ろしてもらえず、ようやく歩いている人とすれ違った時に「恥ずかしいからそろそろ降ろして。」と言って降ろしてもらった。
普段とはあまりにも違う光景というよりもネズミの数に圧倒された。あんなにもネズミが潜んでいたのか。。だけど、やっぱり普段は想像もつかない様な光景に驚きを禁じ得なかった。そこの小さな世界が反転した先には、全く違う世界だった・・・という様な。