第120回フィルムさんぽ(江ノ島灼熱回)に参加してきた件
フィルムさんぽの夏恒例の企画として、真夏の江ノ島を撮影して回る通称「灼熱回」というものがある。以前にも参加した事があるが、当然この時期の気温と高低差の大きい江ノ島というロケーションということもあり、中々に過酷な企画回でもある。
普段の撮影会の内容に加えて江ノ島でのランチや撮影後のスーパー銭湯に任意で行ける面白さもある。
だが今年の江ノ島回は先に用事が入っていたので日程が合わず出られない、はずであった。
募集締め切り直前に急遽予定が飛んでしまい、日程が空いたのでギリギリ飛び入り参加をすることとなったのだ。
そなえよつねに
募集締め切り前日に駆け込み登録したため、急遽いつもの使用カメラ投票を行う。
https://x.com/kaz_Pinguist/status/1815923718083772448?t=yv1Mw0JvAmFqfcX9bIVSxQ&s=19
灼熱回はとにかく暑く体力との戦いになるため、軽いカメラの持ち出しを前提として国別に使用カメラの投票をした。
勝利したのは米谷プロデュースのカメラ、オリンパスM-1に決定した。
最近の推しレンズ55mmF1.2と、新しく手に入れたMシステム時代の専用レンズフードを装着したM-1パーフェクトフォームで参加することに。
Mシステム時代の55mmF1.2そのものが1200本ほどしか存在せず、それに対応する純正のレンズフードはかなり珍しい。
さらに興味深い事に、Mシステム時代の元箱の右上に取ってつけたように「OMシステム」のシールが貼られている。
これは推測するにMシステムとして出荷・流通の後に改名騒動があったため、生産が切り替わるまで既存の商品にOMシールを貼って対応していたものだと思われる。
これだけでご飯一杯食べられる程度には興味深いものなので頑張って購入した。
さてカメラ以外にも灼熱の江ノ島に対応するために数々の準備が必要であった。準備、準備、かたきぞ準備。フレッフレッフレッ。
まずは日焼け止め。そして冷却シート。帽子とサングラス。熱中症対策タブレット。
ネッククーラーとモバイルバッテリー2つ。水分補給を容易にするためのハイドレーションシステムと2リットルのスポーツドリンク。
そして荷物を減らすためのハイドレーションシステム専用ベスト。
普段は大型のカメラバッグを提げているがバッグなしで行動できるよう荷物を減らしてまとめてみた。交換レンズも絞ってまさに臨戦態勢。
太陽が目覚めたらあの海へ行こう
かくしてフル装備で開催地の江ノ島へと向かう。事前の天気予報では曇りや夕立と天候がやや心配されていたが、大丈夫。私が来た。
元々灼熱回は天候に恵まれる傾向に加えてフィルムさんぽ屈指の参加時快晴率95%を誇る私のパッシブスキル「太陽の子」が発動したため夕立すらなく(帰宅時に自宅周囲が雨に降られた様子はあった)終始晴れていた。
さて今回、使いたいフィルムが一つあった。ロモグラフィーが新しく発売した、Color'92 Sun-kissedというものである。実は数が少ないのでギリギリ参加の私の分までは本来無かったのだが、前日に主催のurbanさんから連絡があり「一本追加で手に入りました!」と現地で分けて頂けることに。
通常のColor'92との比較も行う新フィルムレビュー回の側面もあった。
一応箱にはISO400、と記載があるが真夏の江ノ島でISO400となると露出が過多になりそう。まあND8フィルターならあるからいいよな、と思い会社から帰宅する途中ふと思い出した。
「55mmF1.2はフィルター径55mmじゃん」
私が主に使うレンズは49mmの物が多いため、49mmであればNDやPL、ブラックミストなど結構揃っているのだが55mm径のフィルターは殆ど持っていない。
急遽帰路にあるビックカメラで探すもいつものプロレタリアートな価格のフィルターの取り扱いがなく、ケンコー・トキナーの高いやつ(Zetaシリーズ)しか手に入るものがない。背に腹は代えられないので時の鼓動を感じることにした。
決戦の地・江ノ島まで向かう。私はメインウェポンのM-1とサブにオリンパスPENを装備した思想マシマシセットで出動だ。
夏なのでつい一目惚れして新調したスイカの時計も決まってるぜ!
35度のとろけそうな日
江ノ島はまあ海なので比較的海風もあり午前中は過ごしやすかった。数々の防御装備も功を奏し、人出も想定していた程ではなく、あちこちを周り写真を撮ってみる感じに。
途中、クラフトビールの醸造所を見つけたので当然のように立ち寄る私。仕方ないじゃん。セゾンビール(ベルギーで農作業の時に飲まれる度数の低いもの)出してるんだもん。
最初立ち寄った際にはまだオープン前だったので、海岸で撮影をして戻ってきた際に駆け込んで一杯頂いた。
お店の人がフィルムカメラをわかる人だったため、私の思想マシマシセットを手にとってもらい
「いやペンいいっすねえ!」「ファインダー腐食してないんだ!」などと色々話し込む。
私が一服している間、本隊は次の目的地に向かっていたようで私は後から追いかけることに。
これがいけなかった。
いつも主催からはこういう事態も想定して次の集合場所などが送られてくる。私も頂いた座標でGoogleマップを使おうとしたのだが……
「え???道、なくない?」
どうもマップが表示するルートが間違っているのだろうか、実際は行き止まりになっておりどこにも道がないのだ。
恐らく本隊はマップで表示されない細いルートを通っているのだろうが、いかんせん土地勘がないため私は取りあえずぐるっと大回りしてメインストリートから江ノ島の頂上を目指すことにした。
ところが猛暑の中出てくる上がり階段がかなりキツく、体力をガンガン奪われていく。
しゃ、写真を撮っている余裕がない……
辛うじて途中撮ったもの。
なんとかメインストリートに戻った頃にはネッククーラーも停止し(バッテリーを繋ぎ替えれば動くが荷物を降ろす余裕がない)ジリジリと気温が上がっていくのもありフラつき始める。
江ノ島エスカーの誘惑に負けて山頂付近までエスカーで登った頃には頭もクラクラでダウン寸前であった。
丁度集合場所がエスカーを降りてすぐだったのだが、島南部を半周して登ってきているため写真を撮る余裕がなく、残り15分でなんと14枚も残っている始末。
動けるようになるまで切れた水分を補給し、かき氷をパクつきなんとか撮り終えるよう頑張る。
かき氷うまい。
この辺は既に意識がフラついておりピントが合っていない。
1分間に1マイペースでなんとか撮り終え、フィルム提出に間に合わせた後はランチに向かうことに。
食事をしてからスーパー銭湯へと移動するため島を下りるのだが……
足が上がらない 行け!行け!銭湯のところまで
片瀬江ノ島駅から藤沢に向かい、そこからバスでスーパー銭湯まで向かうルート。
江ノ島から続く長い橋を歩いて駅の直前の階段を上げた瞬間。
ビキンッ!!
左足に今まで味わったことがないような強いこむら返りが起こり思わずその場にしゃがみ込む。さらに右足にも同じ痛みが走り、身動きが取れなくなってしまった。灼熱回は階段の昇り降りなどもあるので足を攣ることそのものはあるのだが、普通のこむら返りとはレベルが異なる強い痛み。
他の参加者の方に色々助けて貰いなんとか移動するが、立ち上がろうとするたびに同じ場所を何回も連続で攣ってしまう。
バス内の所ジョージの広告に
「熱中症の初期症状に気をつけよう!」と書いてあったのだが、
・意識が遠のく
・大量の汗をかく
・急なこむら返り
・生あくびや眠気
フルコンプリートじゃねえか。
そして不思議な事に水分や塩分はしっかり摂っている(スポーツドリンクや熱中症タブレット)にも関わらず症状がまるで改善しない。
左足はまるで動かず、移動する際も足を引きずるどころかけんけんで移動しなければならないほどだ。
半分泣きながらスーパー銭湯に着くと、痛みが収まるまで待機し、後から入浴をする。
薬草湯やバブルマッサージがかなり効果があり、痛いは痛いけれども我慢が出来る程度にはなった。
トマトは薬草
お風呂から上がると、自販機に並んでいるダカラのトマトジュースが無性に飲みたくなる。
トマトジュースは嫌いではないが無性に飲みたくなる、ということはあまり無い。不思議に思いながらも定番のコーヒー牛乳ではなくトマトジュースを買って飲むと……
う ま い ! !
(テーレッテテー!!)
あまりのうまさにグビグビ飲み干し、追いトマトすら決める程に。
その時、不思議なことが起こった!
「足が、動く……!?あんまり痛くない!!」
来る時は伝い歩きしながらけんけんしなければならなかった程の足が、ゆっくりであれば階段を登れる。何故こんな即効性が……ポカリスエットを飲んでも改善しなかったのに。
熱中症による筋肉の痙攣は水分と一緒に塩分やナトリウムなどが抜け出てしまうことにより筋肉が収縮して起きるもの、だそうだ。
と、なるとポカリスエットに含まれておらずトマトに含まれている成分が鍵なんじゃないだろうか、と思い調べたところ。
カリウム
ポカリスエット100ml中:20ml
すっきりしたトマト100ml中:100ml
5倍!?
しかも追いトマトしたので10倍!?
これじゃないのこむら返りの原因。
そんなわけで講評会時には「トマトは薬草」のスローガンの元トマトジュースばかりを飲んでいた。
太陽のKiss輝く
さて今回の写真は新しいフィルムを使ったということもあり比較検討コーナーも行われた。
私の撮ったものもいくつか挙げてみると……
Color'92とはかなり味付けが異なり、暖色系の強いメトロポリスのようなイメージの映り。
私はISO400に設定して撮っていたが粒状感がそこそこあるのと、青みは前に出てこないので、空や海の青が弱く写り、真夏の海!!というシチュエーションでは少し物足りなさを感じる。
晴天ピーカンで光を入れて撮影したのだが、曇り空のように写りイマイチ美味しそうに感じない。ぬるそう。他の方の普通の92ではしっかり青空が写っていた。
反面、夕方や秋のようなシチュエーションで使うとかなり面白そうなフィルムであるとも思う。人肌はよく発色する傾向にある。
誰が為のタガメ
今回の講評会場は新しい会場となり、繁華街の中にあるため、講評終了後に
「反省したい人は反省会やります」というお達しがあった。
今回は反省したいことしかないのだが、足が痛むため反省会には出ずにまっすぐ帰宅することに。
(それでも3時間掛かる)
代わりに駅前の自動販売機で売られていたタガメサイダーを自分への罰として購入。
しかし私は以前バーでタガメをジンに漬け込んだ「タガメ味のジンリッキー」というものを飲んでおり、タイワンタガメはぶっちゃけ言われないと虫だとわからない、青りんごの風味がするものだ、と判っていたのであんまり罰にはならなかった。
kaz