
ジャンクがじゃんじゃん
以前、「フィルムカメラの選び方はこうするといいかもー」的な記事を書いたことがある。
まあ簡単に纏めると
・自分の好みを大事にしよう
・値段に囚われるな
・出来るだけ触ってから買おう
・お店なんかの整備済みを買った方が長期的には安い
・性能的にはPENTAX SP辺りのラインがあるとよい
というような当たり障りのない選び方である。
今回はこれらとはまるで異なる邪道なカメラの選び方の話をしてみたいと思う。
年末~年明け前後にかけて、やれ椅子が壊れたのなんだので割とハードオフ周りをする機会が結構あった。
このハードオフなんだけれども、実はよーーーく目を凝らしてみるとジャンク品として放り込まれている商品の中に頑張れば使えるものなんかが結構混ざっていたりする。

これはオリンパスOMマウント用のテフノン28-85mmのレンズなのだが、この手のシケズームによくある望遠マクロ機能がついており、広角レンズとしてはイマイチなのだが1:5くらいのマクロレンズとしては結構使える。



500円だったかな。

これは1000円で売られていたオートタクマーの35mmF3.5。
レンズは微細なチリすらない。絞り不良、と書いてあったがなんのことはない。このレンズは世代的に半自動絞りだから絞りを設定した後に一度レバーで開放にしないとならない、というだけであった。

今回はこうしたジャンクなレンズやカメラを買ったり失敗したりした歴史をツラツラと書いていきたい。
JUNK1: シケズーム沼からの使者
上述したテフノンのような所謂「サードパーティーメーカーが出していた廉価ズームレンズ」の呼び方として「シケズーム」という呼び方を教えて頂いてから便利なので結構使っている。
ジャンクコーナーにもタムロン・トキナー・シグマ・テフノン・ソリゴール・サン光機などのシケズームがころころしていることがあるだろう。
当然、レンズにカビや曇りがなく絞りが動いてそうなものを買うと結構これらは当たりを引きやすくはある。
特に古い世代のタムロンにはアダプトール規格のアダプタ金具が付いていたりして、ジャンク品の価格帯であればそれだけで元を取れてしまうことがなくはない。


これは990円(税込)で購入したタムロンの300mmF5.6で、比較的綺麗な写りをしており軽いのでなかなか良いものではあった。
(後に友人に譲ることに)



シケズーム回で使用したサン光機のズームレンズもとりあえずちゃんと映る。
当時の価格帯からしても写りそのものを純正品と比べると少し酷ではあるが……

テフノン28-200mm。これはどちらかというと代理購入したものなのだが、テストした段階で「うわッ、映るなこれ!」と思った。

こうしたズームレンズではトキナー製品とテフノン製品は意外と映る、というのが私の認識であり、状態が同じ程度なら開放だと甘さが残るタムロンよりトキナーを見ちゃうかな。
JUNK2: 機械式はわりとかんたん
ジャンク棚に置かれているカメラの中でも機械式のフィルムカメラは触れるものであれば割とチェックが簡単である。
巻き上げが正常に動き、ファインダーがとりあえず見え、シャッター速度がなんとなくそれっぽく変化していればワンチャンある。
レンズシャッター式などであれば加えて絞り(バルブにして絞りの設定)などを見たり、レンジファインダーが付いていれば目測でおおよそ合わせてみる程度。
EE専用カメラ(個別でシャッター速度が設定できないタイプのもの)は暗所でシャッターを切ろうとしたら赤ランプや赤ベロが出てシャッターが切れない状態だとなお良い。
内蔵露出計に関しては生きていればラッキーぐらいの感覚でいよう。たまに生きていることがある。
機械式カメラの一部には、実際にフィルムを入れないとシャッターがチャージされない作りのものがあり、シャッター不良品としてたまにジャンク品に紛れて販売されていることがある。フィルム室を開けて中に変なギアが入っていると「ラッキー!」と思うことが結構ある。

これは実際に中の変なギアを回さないとシャッターがチャージできないスイス・KINGのレグラCitaというレンジファインダーカメラ。
二重像がやや薄いものの変なギアを操作すればきちんと巻き上げが出来、機械的にはバッチリ動くためジャンク箱から掘り出す。3000円とかそれくらいだったか。


後にフィルムさんぽの忘年会のプレゼント企画で提供し、紆余曲折あって当選した参加者さんが今でもたまに使われているんじゃないかな。
JUNK3: 電子式はイチかバチか
機械式は動作チェックが割と簡単なのだが、ゴロゴロ転がっている電子シャッター式はチェックが結構厄介である。電池を入れないと動かないタイプのやつね。
私は(別にジャンクチェックするためじゃないけどさ)割と電池を持ち歩いている事が多いので、気になると電池をセットしたり、場合によっては大体この手のジャンクを扱っている店舗に併設されている消耗品コーナーで先に電池を買ってからテストしたりすることもある。
単三乾電池4本、2CR5、CR123、LR44あたりなんかを持っているといいかもしれない。
電池室を開けた時に端子が液漏れや錆びがないものであるとワンチャンあるが、ちょっとした錆びなら磨いてしまうとなんとかなるやつもある。


これはチノンのコンパクトカメラでMICRO 35EFというカメラ。フォーカスフリーの500円カメラなのだが、端子をちょっと磨いたらフラッシュを含めて動くようになった。

イメージでいうと開けた時フィルム室が綺麗めなやつは生きている確率が高い気がする。フィルムセット方法のシールなんかが貼られていてスレなどがないとオラちょっとワクワクしてくる。
JUNK4: 時には涙も
勿論、あくまでジャンク棚からガサガサして見つけているものなので時には涙する時もある。
光学ピッカピカで動作もバッチリなタムロンSPの300mm、ボディに取り付けると絞りレバーが歪んでいてうまく絞りこまれなかったり……
オリンパスのOM30がオートではどうやら正常に動いていそうなものの、マニュアル操作するとシャッタースピードが不変だったり……
まあ言ってしまうと結構涙もしている。ただ、まあ自分の手で触ってイケそう、と判断してバクチとして買っているのでそこは自己責任である。

いつも心にフレイザード様を。
まあ、ソシャゲのガチャ10連1回回すくらいのお金でうまく行けば動作するカメラが手に入ることがある、と考えるとそれはそれで前向きかもしれない。
修理の練習も出来るし、フィルムテストするのも結構楽しいものだし。
JUNK5: 最近の戦果
最近ジャンク箱からゴソゴソしてきたものがこちら。


京セラ YASHICA AUTOFOCUS MOTOR IID。1985年のコンパクトカメラで、たまたま車のウインドウを修理に出し、待っている間にジャンク棚で見つけたものだ。シンプルにデザインが格好いいよね。

フィルム室が妙に綺麗だったので購入、テストをしてみることに。ちなみに価格は220円(税込)。


結果としては、電池を入れたらオートフォーカスも巻き上げもフラッシュも、別途CR2025を入れた所デイ・デートもすべて正常に動作していた。
220円でこれなら文句は言えない。

ケース付きだし。

ただし露出計の感度がアンダー側にズレているようだ。ハイライトが飛ぶことがある。次回テスト時は2段感度を上げた設定で試してみたい。
もう一つがこちら。

NIKON・ニコマートFTN。
「kazさん急にどうした!?」と、私の趣味を知る方からはツッコミが入りそうなところなのだが、これには一つバックストーリーがある。
昨年のフィルムさんぽで使用したKIEV19Mというカメラがある。

このカメラ、ニコンFマウントコピーのレンズマウントを持った一眼レフなのだが、モルトが加水分解してしっちゃかめっちゃかになってしまい、一時的に使用が出来なくなってしまった(だって内部でごはんですよ状態になったモルト取るの大変じゃん……)
今のご時世、この手のカメラを輸入することも出来なくはないが以前と比べて少々お値段が嵩んでしまう。うーん、そこまではしたくないんだよなあ……
と、思っていたところハードオフのジャンク棚にめちゃくちゃ綺麗なニコマートが並んでいるのを発見。ファインダーには少々汚れがあるが使用に差し支えはなく、動作も……とりあえずはちゃんとしているように見える。



1967年ごろ製のカメラでこれだけ綺麗ならひょっとしてワンチャン。
作りも非常によくてコパルスケアシャッターが頑丈なのもあるし、とちょっと奮発して(税込3300円)購入してみたのだった。
コイツにKIEV用レンズをガッチャンコして試してみた結果がこちらである。




勝った!!勝ったよワシ!!
いやこれは中々予想以上の結果である。普段はもっと軽いカメラを使うことが多いので金属の塊のような重厚感はちょっと慣れないが。
露出計は案の定不動である……が何か問題が???
※結構いい結果だったのでそのうち直してもらうのも手段の一つではある
これを友人に自慢していたところ、Fマウント用トキナーレンズを送っていただけることとなった。
なんとなくわかると思うが私はニコンFマウントレンズ、というもの自体は殆ど持っておらず。
(ジャンク棚でガサガサしたシグマの300mmはあるが絞り不良を直そうとイジっていたら絞れなくなってしまった)

これは中々にヒットジャンクだったな、と内心ニッコニコニコマートなのであった。
尚、念の為に追記しておくと私は自分でフィルムカメラを買う前は家に転がっていたニコンF2で練習している。

縁が全くないだけで別にアンチニコンってわけではないのだ。丁度仮面ライダー響鬼のロケ地を取って遊んでいたので20年くらい前の話ではあるが。
JUNK6: 用法と用量は正しく守ろう
つらつらとジャンク漁りについて書いてみたが、ジャンク品にはまだ動くものを拾ってきてもう一度道具としての目的を全うさせてあげるという面白さもある。
しかし安いと言ってもあくまで基本としては専門店で買うようにして、ジャンク漁りは一種の洒落や脇道程度に嗜むのが賢いかもしれない。特にカメラ始めたての時期は。
それにしてもニコマートは大当たりだったのだがニコンFマウント用のアダプトール、普段はジャンク箱にコロコロしているような印象があるがいざ探すと見つからないなあ……
kaz