りょえさんぽ(中判回)に参加してきた件
以前、中国の中判カメラ「長城」がよく映るぞ、という記事を書いた。
実際使っていても非常に楽しく更には映りも中々よいめちゃ楽しいカメラなのだが
その楽しさや使い方を色々な人にアピールしていたところ、いつもりょえさんぽでお世話になっているりょえよさんが偶然この長城を手に入れる運びとなった。
そして更にその流れで他の方まで長城を購入されたらしく、今回のフォトウォークは中判回なのだが、
長城が3台揃うめったに見ない悪夢のような回となる事が見込まれていた。
今回のフォトウォークはゴールデンウィークに開催される。
Golden WeekにGreat Wallが集まるのは自然なことではなかろうか。GWだし。
そういった理由で、今回は私も長城により色褪せない熱い想い身体中で伝えたいよTonightと思う。
決戦の場所横浜へ
今回の流血のシナリオの舞台となるのは横浜。アメリカ山公園などで薔薇を撮影する次第となる。
今年は桜の開花がかなり遅かった事や、庭先で栽培している植物も生育が10日前後ほど遅れているため、果たして薔薇の開花は間に合うのだろうか、と少し気がかりだったが、まるで帳尻を合わせるかのように気温が急上昇したため杞憂と終わって良かった。
今日は中国のカメラを使うので持ってきたのは紹興酒。ちゃんと炭酸で割って飲んでいた。最初の方は。
チョウジョウ3機確認
集合して各々のカメラを並べ合う。
皆様にお聞きしたいのだが、これまでグレートウォールが3機揃うフォトウォーク見たことある???
しかも細かい仕様がビミョーーーー、に異なり、露出目安の表示が英語・日本語・中国語と綺麗に分かれていたり(私のは日本語表記バージョン)、
後述するがりょえよさんの長城・英語バージョンはレンズのローレットの形状や巻き上げノブなど割と違いがある。
そして無事天気にも恵まれ、横浜の公園を撮り歩くことに。
マクロ攻防戦
さて、このグレートウォールには一つ不思議な機能があり、レンズを取り外すと39mm径のスクリューマウントが出てくる。
話によるとベローズや引き伸ばし用のレンズをリリースする予定だったとかなのだが、この「39mm径」というのが悪さをしやすい。
こうして初期ゼニット用のレンズや、ライカスクリューマウント用のレンズを取り付けることが可能なのだ。
勿論、フランジバックは合わないので近接、というか超近接撮影のみの対応となるが、逆に言えば中判カメラで超近接撮影が出来る、と言い換えることも出来る。露出係数の関係で凡そ2段分くらいは明るさが食われることになるが、天候に恵まれた為数字の上では使用に問題は無かった。
果たして今回の成果は……?
長城と呼ばれたC(カメラ)
撮影は問題なく進み、昼食を食べながら撮影したプリントを回して鑑賞し合う。
本日は横浜駅西口の餃子屋さん。餃子がやたら美味しかった。
このカメラは実は扱いやすさとコンパクトさ、またやたら良く映る特徴もあるため地味にかなりオススメのカメラではある。
通常使用時は赤窓+多重露光防止機能(巻き上げノブを進めないとシャッター幕を兼ねるミラーが降りない)で割と安心して撮影できる。意外と良く出来ている。また、多重露光用のレバーがあるのでそちらを操作すれば巻き上げなくてもミラーシャッターチャージが行えるため、意図的に多重露光写真を撮ることも可能だ。
これは先ほど紹介した超近接仕様。初期ゼニット用の39mmスクリューマウントのIndustar-22を使用した状態で、フランジバックが合わないため花から約7cm前後の近接距離での撮影が出来る。
同じ長城を使っていたりょえよさんがクローズアップフィルターを使うスマートなやり方を使用していたのに対して、かなり強引な力技を使っていた。
ちなみにこの撮り方をする場合は露出補正が掛かるので通常の撮影時より感度を2段分下げて撮影するのがコツだ。
ただ、花撮りの割合が多かったのでメトロポリスの選択はイマイチだったかなあ。
LAST IMPRESSION
ところで、参加者3名の長城を並べて比較してみると細かい違いがあることが判明した。
いやまずこの絵面がおかしいんだって。
まず先述したように露出などを表記した注意書きの銘板が英語・日本語・中国語となっている。
私のものは日本語バージョンなのだが、この長城はかつて日本の代理店が輸入し、一部を手直しして販売していたそうなのでその日本輸入版だろう。
同様に英語圏に輸出されたものが英語バージョンと思われるが
左:英語バージョン
右:日本語バージョン
左の物は巻き上げノブの仕上げがゼブラっぽい仕上げになっているのがおわかりだろうか。
巻き上げの感触も少し重い(悪い意味ではない。しっとりしっかり回る感じ)であり、ちょっと作りが良いんじゃないかな。
また左の長城のレンズはローレットの仕上げもやや異なっており、古めのタクマーレンズのような堀込み、恐らく手作業によるもの?のような仕上げとなっている。
この英語版長城はシリアルナンバー等は一番古いものの、巻き上げノブやレンズのローレット仕上げ、細かいところではセルフタイマーの矢印に赤い塗装が施してあったりと少し手が込んでいる印象があった。
日本語バージョンと恐らく国内流通用の中国語バージョンではほぼ全体的な仕様は同一であったが、唯一中国語バージョンだけファインダーの仕上げが全く異なっており、後述するが645切替時のマスク位置や中央にレティクルがあるゴージャスなもの。
マットガラスだがファインダーも妙に明るくて大変ピントが合わせやすい。
(元々長城はファインダーはめちゃくちゃ明るく合わせやすい。実絞りのレンズだが割と苦も無く合わせられる)
と、多分全世界で9人ぐらいには役に立つかもしれない各バージョンの差異を説明してみた。
その名は645
実はこの長城、中判カメラに割とよくある機能なのだがフィルム室にマスクを取り付けることで通常の6×6判から6×4.5判に切り替えることが出来る。
しかし何となくお分かりだろうがこのマスクが欠品していることも多いし、ローライやらリコー、フレクサレットのようにマスクパーツが単品で流通することは極めて少ない。というか見たことがない。
私の長城も645マスクは欠品しており、その機能を使用することは出来なかった。
本日参加された方(中国語バージョンオーナー)は幸運なことに645マスクが付属していたらしく、645モード時のファインダー枠もあるゴージャスなファインダーもあり645モードで使うことが出来ていた。
で、「付いていた645マスクを元に3Dプリンターでマスクを作ってみました」との事。
今、分かりました。宇宙の心は彼だったんですね!
フィルム室に645マスク(ピッタリだ!)を取り付けし、
ドライバーを使い中央のネジを回して赤窓のシャッターを切り替えると
窓を塞ぐシャッターが切り替わり、66フォーマット用の窓が遮蔽され、645フォーマット用の窓が有効化される。
この状態で赤窓の開閉を切り替えるレバーはしっかりと645用赤窓と連動するようになっている。
地味にやたら良く出来た仕組みだ。
消耗品なので、ということでこのマスクを2枚頂いた。私の日本語バージョンには645ファインダー枠がないのだが、まあそこは気合でなんとか。
ちなみにグレートウォールシリーズの中には35mmアダプターに対応したものもある。
燃え尽きない中華製
お二人の作例は私とは比べ物にならないほど綺麗に写っており、中国のカメラといっても舐めたら火傷するぞ、というアッピールは出来たと思う。
使用した人は皆好評価、意外とお安く売られている事もあるので酔っ払った勢いなどでポチッとしてしまってもきっと後悔しないだろう。
さあ、あなたも買おうグレートウォール。
万里の長城は君の登頂を待っている!
と、いったところで今回のレビューを終わりとしたい。
これで何もかも終わりだ。
――任務、完了。
kaz